税理士とは

税務調査に強い税理士の選び方|実績・書面添付と初回相談

税務調査に向けて税理士と経営者が書類を確認しながら相談する様子
税務調査に強い税理士かどうかは、看板の「調査対応OK」ではなく、立ち会いの実績、書面添付を実際に行っているか、そして初回相談での受け答えでかなりの部分が見分けられます。どれも契約前に確かめられることばかりです。 以下では、強い税理士と弱い税理士の差がどこで生まれるのかを押さえたうえで、確認のポイントと、相談の場で投げかけたい質問を順に紹介します。

税理士でも税務調査に強い・弱いがある

税務調査が入った際に、現場で立ち会い、顧客に代わって説明や交渉を行うのは税理士の重要な仕事の一つです。しかし、税務調査の結果は対応した税理士によって変わってくるのが実情です。すべての税理士が税務調査に詳しいわけではなく、税法の知識に加えて経験や折衝力が問われるからです。 税務調査に強い税理士とは、納税者の立場に立って調査官の指摘に適切な理由を説明し、証拠書類を示しながら主張すべき点を主張できる税理士です。逆に弱い税理士は、調査官の指摘にほとんど反論せず押し切られ、言われるままに修正申告を進めてしまいます。 こうした差が生まれる背景には、税務調査の経験の多寡があります。そもそも税理士試験に「税務調査」という科目はなく、日常的に調査を担当している調査官に対しては、相応の経験と折衝力がなければ対等に渡り合えないのです。

税務調査に強い税理士を見分ける方法

税務調査に強い税理士を探すには、まず税理士事務所の公式ホームページで、業務内容や税理士の経歴を確認することが第一歩です。業務内容やサービスメニューのページを見れば、税務調査対応に積極的かどうかがわかります。そのうえで、本当に強いかどうかを見分けるポイントを紹介します。

税務訴訟の「補佐人」経験がある

税務訴訟の補佐人とは、税理士法第2条の2に基づき、租税に関する事項について裁判所で、訴訟代理人である弁護士とともに出頭し陳述できる制度です(条文上の正式名称は「補佐人」です)。 税務調査の指摘に不服がある場合、多くは税務訴訟の前に再調査の請求や審査請求で解決を図るため、訴訟まで進む件数自体は多くありません。それだけに、補佐人としての経験がある税理士は、税務の争いに深く関わってきた実績がある税理士と考えられます。

税務調査対応を専門にしている

税理士事務所のほとんどは、税務相談・決算・申告手続きを主たる業務としています。「税務調査対応」と書かれていても、顧問先に調査が入ったら対応する程度のスタンスのところも少なくありません。 一方で、税務調査対応に特化していたり、専門部署を設けていたりする事務所もあります。こうした事務所は顧問先以外からの調査案件も引き受けるため、立ち会いの件数が多く、交渉のノウハウが蓄積されやすい傾向があります。

「書面添付」に対応しているか

依頼前に確認できる指標のなかで、もっとも実務的なのが書面添付制度への対応です。これは、税理士が申告書を作成するにあたってどの帳簿・書類に基づき、どのように計算・整理・審査したのかを記載した書面(税理士法第33条の2の計算事項等記載書面)を申告書に添付する制度で、税理士だけに与えられた権利です。 この書面が添付されていると、税務署が実地調査の日時・場所をあらかじめ通知しようとする前に、税務代理を行う税理士に対して意見を述べる機会を与えなければならないとされています(同法第35条第1項。いわゆる意見聴取)。国税庁は、調査通知の予定日の1〜2週間前までに税理士へ連絡し、意見聴取の日時・方法を取り決めるとしています(国税庁「税理士制度のQ&A 書面添付・意見聴取制度」)。 意見聴取の段階で疑義が解消し、調査の必要がないと認められた場合には、事務所などへ調査官が臨場する帳簿書類の調査に至らないこともあり得ます。もっとも、国税庁は「調査の省略を前提とした制度ではない」と明言しており、「書面添付をすれば調査が来ない」と考えるのは誤りです。 実務上さらに大きいのが加算税の扱いです。意見聴取での質疑等のみをきっかけに修正申告書を提出した場合、それは「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたもの」には当たらないと整理されています。 そのため、意見聴取から調査通知までの間に修正申告書を提出したときは、加算税が賦課されません(調査通知の後に提出した場合は賦課されます)。確認したいのは次の3点です。
  • 顧問先の申告書に書面添付を行っているか、行っている場合はどの程度の割合か
  • 書面に何をどこまで具体的に記載しているか(形式的に空欄が多い書面では意味が薄れます)
  • 意見聴取の連絡が来たときに、誰がどう対応するのか
なお、事前通知を行わない調査(国税通則法第74条の10)の場合、意見聴取は行われません。また令和6年4月以降は取扱いが変わり、計算事項等記載書面のみを単独で提出すること(添付する申告書の法定申告期限内に限る)や、参考資料を添付することもできるようになりました。制度の詳しい流れは書面添付制度の仕組みと意見聴取の流れで解説しています。 >>税務調査に強いおすすめ税理士事務所を見る

まだまだある、税理士選びで押さえるべきポイント

会社経営において、税理士とのお付き合いは切っても切れないものです。ある程度の規模の会社なら、会計ソフトを使って経理担当者が日常業務をこなせることもあります。 しかし、普段の業務とは一線を画すのが税務調査です。この調査への対応を誤ると、会社として大きな痛手を被ることになるため、税理士を選ぶ際は「税務調査に対応してもらうこと」を念頭に置く必要があります。

税務調査は事前に防げる?

税務調査とは、適正な申告をしているか、不正な手段で納税を逃れていないかを、税務署の調査官が確認するものです。調査の対象になりやすいのは、「売上が増えているのに利益が減っている」「経費が不自然に増えている」「現金決済が多く売上の把握が難しい」「内部告発があった」といったケースです。 こうした疑われやすい経理上の挙動は少なくしておきたいものの、売上や経費はそうそう大きく動かせるものではありません。特に疑わしい点がなくても、公平性の観点から調査が入ることもあります。 調査そのものを完全に防ぐことは難しいのですが、日々の書類作成や申告の段階で説明のつく状態を保ち、調査が入る可能性を下げることは可能です。こうした対策を手助けしてくれる税理士かどうかが、選び方のポイントになります。

普段の業務で備えておく

税務調査は原則として事前通知を経て行われます。ただし、悪質な脱税が疑われる場合や、現金決済が多く事前に知らせると正確な事実の把握が難しくなる場合などは、通知なしの調査が行われるケースもあります。 いずれにせよ、税理士には調査中に立ち会い、調査官の質問に適切に答え、会社にとって不利益が小さくなるような対応が求められます。そのためには、普段から会社の状況を熟知し、必要な書類や情報がどこにあるのかを把握してもらうことが大切です。 コスト削減のために記帳を安価な外注先に任せきりにしている事務所では、会社の実情を把握できず、調査官に的確な返答ができないおそれがあります。事務所選びでは、この点にも注意するとよいでしょう。

法律・税制に強いこと

法律や税制に強い税理士の特徴の一つが、前述の「補佐人」として対応してくれるかどうかです。補佐人として対応してくれる税理士であれば、万が一、税務に関することで裁判になった場合でも、弁護士とともに裁判所に出頭して陳述してくれます。 また、普段から税務調査に関する法律や判例を研究し、「法律論」を学んでいる税理士を選ぶとよいでしょう。法律・判例に詳しいほど、税務調査で調査官を説得しやすくなります。

税務調査の実績数

税法や法律論に詳しいことはもちろん、税務調査への立ち会い経験が豊富かどうかが重要です。申告業務が中心の事務所では、立ち会いの機会は顧問先に調査が入ったときに限られます。一方、調査対応を専門にする事務所では、調査が集中する時期に立ち会いが続くことも珍しくありません。 立ち会い経験の多い事務所は、調査の典型的なパターンを熟知しており、それに対抗する法律論を組み立てて、調査を有利に進めてくれます。件数は公式サイトに載っていなくても、相談時に聞けば答えてくれることが多いので、遠慮せず確認しましょう。

交渉力

税務調査に強い税理士の特徴として、交渉力も欠かせません。論点が明確になるように動いてくれる税理士であれば、調査がいたずらに長引くことを防げます。 交渉力の高い税理士は、明らかに是正すべき点は素直に認め、正当な処理については根拠を示して主張し、見解が分かれる部分は調査の後半でまとめて交渉する、といったメリハリのある進め方をしてくれます。

税務署OBなら強い?

「税務署のOBだから税務調査に強い」という売り文句を聞くことがあります。調査をするのは税務署の人間ですから、在籍していた人はその手法や進め方をよく知っている、という理屈には一定の説得力があります。 ただし、少し注意したい点もあります。税務署などで一定年数以上、税務や会計の事務に従事した人は、税理士試験の一部科目の免除を受けられる制度があります(税理士法第8条等)。 そのため、税務署OBは調査の内側を知る一方で、試験科目の免除を受けて税理士になった人もいます。OBであることだけで判断せず、所属事務所のホームページなどで経歴や実績を確認し、肩書きに惑わされずに選ぶことが大切です。

そもそも税理士として登録されているか

基本的なことですが、税理士業務は税理士でなければ行えません(税理士法第52条)。「税務に詳しいコンサルタント」を名乗る無資格者に申告を任せてしまい、調査の場で誰も代理できない、という事態は避けなければなりません。 日本税理士会連合会の税理士登録者数によると、登録者数は82,343人、税理士法人の届出数は主たる事務所で5,330件です(2026年8月末日現在)。 同会の税理士情報検索サイトでは、氏名や事務所所在地から登録の有無を確認できます。初めて依頼する事務所であれば、契約前に一度調べておくと安心です。

初回相談で見極める、いい税理士の答え方

ホームページだけでは、実際の対応力まではわかりません。多くの事務所が初回相談の場を設けていますので、次のような質問を投げかけ、答え方を見てみましょう。具体的に、根拠を添えて答えてくれるかどうかが見極めのポイントです。
  • 「昨年は何件くらい税務調査に立ち会いましたか」……件数をはっきり答えられるか、顧問先以外の案件も受けているか
  • 「今回の通知の税目・期間だと、どこを重点的に見られそうですか」……業種や申告内容に即した見立てを示せるか
  • 「修正申告に応じるか争うかは、どう判断しますか」……認めるべき点と主張すべき点を分けて説明できるか
  • 「書面添付はしていますか。今後はどうしますか」……実施の有無と、記載の方針を具体的に話せるか
  • 「費用は何にいくらかかりますか」……立ち会い・修正申告などの内訳と追加費用の条件を事前に示せるか
逆に、「任せておけば大丈夫です」「必ず税金は減らせます」といった根拠のない約束をする場合は注意が必要です。調査の結果は事実と資料で決まるため、結果を保証する税理士より、見通しと限界を率直に伝える税理士のほうが信頼できます。 費用の相場感は税務調査で税理士に依頼する費用の相場で確認しておくと、見積もりを比べやすくなります。

追徴後の「納付」まで相談できるか

調査で修正申告をすると、本税に加えて延滞税や加算税を納めることになります。資金繰りの都合で一度に納められないときは、国税の猶予制度(換価の猶予・納税の猶予)を申請できる場合があります。 とくに、本来の期限から1年以上たってから修正申告などで税額が確定した場合は、納期限までに申請すれば納税の猶予が認められることがあります(国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき)。 調査の終盤から納付の段取りまで見通して助言してくれる税理士なら、延滞税が膨らむ前に手を打てます。税理士に任せられる範囲の全体像は税理士に依頼するメリットにまとめています。

税理士選びのチェックポイント早見表

確認する観点見るポイント確認の方法
調査対応の専門性税務調査対応に特化・専門部署があるか公式サイトの業務内容
立ち会い実績年間の立ち会い件数・顧問先以外の案件の有無実績紹介・初回相談で質問
書面添付の実施顧問先の申告書に添付しているか・記載の具体性初回相談で直接確認
法律への強さ補佐人としての対応・判例研究経歴・サービス内容
交渉力論点整理と折衝の進め方初回相談での説明
会社理解記帳を丸ごと外注していないか記帳・連絡体制の確認
費用の透明性立ち会い・修正申告などの内訳と追加費用の条件見積もり・契約書
登録の有無税理士・税理士法人として登録されているか税理士情報検索サイト

依頼したら「税務代理権限証書」の中身も確認する

税理士に税務代理を依頼すると、税理士は税務代理権限証書(税理士法第30条)を税務署に提出します。契約して終わりにせず、この書面の記載まで確認しておくと、いざ調査というときの連絡経路がはっきりします。
  • 事前通知に関する同意…納税者の同意が記載されていれば、実地調査の事前通知は税理士に対して行えば足りることになっています。記載がない場合は、納税者と税理士の双方に通知が行われます。
  • 調査の終了の際の手続に関する同意…令和6年4月1日以後の様式に設けられた欄です。記載があれば、調査結果の内容の説明を税理士に対して行うことになります。
  • 代表する税務代理人…複数の税理士に依頼している場合、代表する税務代理人を定めておけば、事前通知はその税理士に対して行えば足りることになります。定めがなければ、委任を受けたすべての税理士に通知が行われます。
どれも小さな欄ですが、「税務署からの連絡が誰に、いつ届くか」を左右する実務上の要です。顧問税理士に任せきりにせず、どの同意を記載しているかを一度聞いておきましょう(国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」)。 会社にとって税務調査は突然やってきます。そこで不正(意図しないものであっても)が見つかれば、取引先やメインバンクにまで照会が及び、信用を大きく損なうおそれがあります。 また、一度問題が見つかると、是正状況の確認のために数年後に再び調査が入る可能性も高いといわれます。最初にミスをしないことが肝心ですから、費用だけにとらわれず、しっかり対策を立てられる税理士を選ぶことが、長い目で見て会社の利益になるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 顧問税理士がいても、調査専門の税理士に別途頼めますか?

A. 可能です。顧問税理士が税務調査の経験に乏しい場合、調査の立ち会いだけを経験豊富な税理士に依頼する(スポット対応)こともできます。顧問税理士と連携できるよう、早めに相談しておくと安心です。

Q. 書面添付をお願いすれば税務調査は来なくなりますか?

A. なりません。国税庁は調査の省略を前提とした制度ではないと明言しています。ただし、調査通知の前に税理士への意見聴取が行われ、そこで疑義が解消すれば臨場しての調査に至らないこともあり得ます。申告の根拠をあらかじめ明らかにしておくための制度と理解しましょう。

Q. 税務署OBの税理士は避けたほうがよいですか?

A. 一概には言えません。調査の進め方を熟知している強みもあります。大切なのはOBかどうかではなく、税務調査の立ち会い実績・法律論への強さ・交渉力です。経歴と実績の両面で確認しましょう。

Q. 費用が安い事務所を選んでも大丈夫ですか?

A. 料金は重要な要素ですが、税務調査では対応の質が結果を大きく左右します。記帳を安価な外注に任せきりで会社の実情を把握していない事務所は、調査官に的確な返答ができないことがあります。費用と実績のバランスで判断しましょう。

Q. 税金の滞納や納付の相談も、税理士選びの基準になりますか?

A. なります。追徴税額を一度に納められないときは猶予制度の申請を検討することになり、要件や申請期限(換価の猶予は原則として納期限から6か月以内)があります。調査対応とあわせて納付の段取りまで相談できるかを、初回相談で確かめておくと安心です。

制度の内容や手続きは改正されることがあるため、最新の取扱いは国税庁のサイトでもご確認ください。

税務調査の対応|やってはいけないことと準備する帳簿・書類を解説

税務調査に備えて帳簿や書類を整理した事務所のデスクのイメージ
税務調査への対応で結果を分けるのは、当日の受け答えよりも連絡を受けてから当日までの数日間の使い方です。とくに売上げが確認できる帳簿をすぐ提示できる状態にしておけるかどうかは、加算税が最大10%重くなるかどうかを直接左右します。やってはいけないこと、事前通知で伝えられる内容、調査項目ごとに用意する書類、そして調査が終わったあとの流れまでを、税務調査の現場に精通した専門家の視点で順に整理しました。正しく備えれば、調査は決して怖いものではありません。

まず押さえる「やってはいけないこと」

税務調査には強制調査と任意調査がありますが、よほど悪質な脱税の疑いがある場合を除き、実施されるほとんどは任意調査です。「任意」とはいっても、正当な理由なく調査を拒否することはできません(受忍義務)。調査当日までの準備が欠かせませんが、その前に「やってはいけないこと」を押さえておきましょう。

調査を受ける側のNG行動

調査の拒否のほか、妨害や忌避も認められません。調査官の質問に答えない、偽りの答弁をする、嘘の記載や記録のある帳簿書類を提出する、といった行為も同様です。これらを行うと、国税通則法第128条により「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科される可能性があります(質問検査権に対する不答弁・虚偽答弁・検査の拒否等)。 なお、2025年6月1日に施行された改正刑法で、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました。古い記事や書籍では「1年以下の懲役」と書かれていることがありますが、現在の条文上の表記は「拘禁刑」です(罰金額に変更はありません)。 もっとも、国税庁は「罰則があることをもって強制的に検査を行使することは考えていない」と明言しており、帳簿書類の提示・提出は必要である旨を説明したうえで、理解と協力を得て行うとしています(国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問3)。過度に身構える必要はありませんが、聞かれたことに誠実に答える姿勢が前提になります。

調査する側のNG行動

調査する側にも、やってはいけないことがあります。調査官が税務調査を行えるのは質問検査権の範囲内とされており、相手を拘束したり、勝手に差し押さえをしたりすることはできません。また、事業に無関係の私物や自宅については、本人の同意がない限り検査することはできません。 会社に私物を置いていると、調査の流れのなかで目に触れてしまうことも考えられます。事業に関係のないものは自宅に持ち帰っておいたほうが安心です。 なお、調査官が帳簿書類を預かる「留置き」も、必要性を説明したうえで納税者の理解と協力のもと、承諾を得て行うものとされています。留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還されますし、業務で使う必要があるなど理由があって返還を求めた場合も、支障がない限りすみやかに返してもらえます。

事前通知では何が伝えられるのか

「ある日突然、調査官が来るのでは」と心配される方が多いのですが、実際にはほとんどの実地調査は事前の連絡から始まります。何が伝えられるのかを知っておくだけでも、心の準備は大きく変わります。

通知される内容と、日程は相談できること

実地の調査を行う場合、原則として、対象となる納税者(税務代理人がいればその税理士)に対し、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて、電話などで実地の調査を行う旨・調査を開始する日時・調査を行う場所・対象となる税目と課税期間・調査の目的などが通知されます。 また国税庁は、事前通知に先立って納税者や税理士の都合を聴取し、必要に応じて日程を調整するとしています。通知を受けた後であっても、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情などがあれば日程変更を申し出ることができ、合理的と考えられれば変更が検討されます。申し出の方法に決まった様式はなく、口頭で構いません。「断ってはいけない」と思い込んで無理な日程を受ける必要はありません。

事前通知がない調査もある

一方で、申告内容・過去の調査結果・事業内容などから、事前に通知すると(1)違法または不正な行為を容易にし、正確な課税標準または税額等の把握を困難にするおそれがある、(2)その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある——と判断された場合には、事前通知が行われないことがあります。現金商売など、証拠を確認しにくい業種で行われることがあるのはこのためです。どのような会社が調査対象に選ばれやすいかは、税務調査が入る基準とは?選ばれやすい会社・個人の特徴で整理しています。 ただし通知がない場合でも、臨場後すみやかに、対象となる税目・課税期間や調査の目的などは説明されることになっています。

「税務調査」と「行政指導」は別物

見落とされがちですが、税務署からの電話がすべて税務調査とは限りません。提出された申告書に計算誤り・転記誤り・記載漏れなどがあるのではないかと思われる場合に、「行政指導」として自主的な見直しを促す連絡が入ることがあります。国税庁は、担当者が調査または行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、どちらに当たるのかを納税者に明示するとしています。 両者の違いは、その後の負担に直結します。行政指導に基づいて自主的に修正申告書を提出した場合、過少申告加算税は賦課されません(期限後申告となる無申告のケースでは、無申告加算税5%が賦課されます)。ただし、いずれの場合も延滞税は納付が必要になることがあります。 電話を受けたら、まず「これは税務調査でしょうか、それとも行政指導でしょうか」と確認すること。これだけで、その後の対応の組み立てが変わります。

実地調査は減り、電話や書面での接触は増えている

この「どちらなのか」の確認が以前より重要になっているのは、税務署の接触の仕方が変わってきているためです。国税庁が2025年12月に公表した令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要によると、法人に対する実地調査は5万4千件(前年比▲7.4%)と減った一方、書面照会・電話連絡・来署依頼といった「簡易な接触」は8万5千件(同+13.4%)に増えています。 同時に、実地調査1件あたりの追徴税額は634万円(同+15.4%)、法人税・消費税の追徴税額の総額は3,407億円と直近10年で最も高い水準になりました。国税庁は、AIを活用した予測モデルで調査必要度の高い法人を抽出し、申告書や資料情報とあわせて調査官が実施の要否を最終判断している、と同資料で説明しています。
法人税・消費税の追徴税額が令和6事務年度に3,407億円と直近10年で最高になったことを示す折れ線グラフ
令和6事務年度の追徴税額(法人税・消費税)は3,407億円で直近10年の最高値。実地調査の件数は前年より減っています。
つまり、件数を絞り込んで精度を上げる方向に動いているということです。裏を返せば、税務署から連絡が来た時点で「なぜ自社が選ばれたのか」に見当がつく程度には、自社の数字を説明できるようにしておく意味があります。

主な調査項目と対応のポイント

税務調査で質問される項目は、ある程度決まっています。次のような内容で事前に調査のシミュレーションを行い、必要書類を準備したり、質問に速やかに答えられるようにしたりしておくことが重要です。実際にどんな聞かれ方をするのかは、税務調査で聞かれること|当日の質問と答え方もあわせてご覧ください。

会社や事業の概況

会社の経営全般の状況や、日常業務の流れについて質問されます。会社案内や組織図、商品案内などの資料を用意し、具体的に説明できるようにしておきましょう。

売上処理

受注してから売上が計上されるまでの流れについて質問されます。計上のタイミングが曖昧な説明にならないよう注意し、注文書・納品書・請求書が流れに沿って発行され、自社の基準どおりに売上が計上されていることがわかる資料を用意します。

仕入・外注処理

取引日が明確にわかる仕入や外注費に関する書類を準備しておきます。金額に正当性があることを説明できるよう、根拠を明らかにしておくことがポイントです。

現金管理

現金出納帳と、金庫などにある現金残高が一致しているかを確認されます。机やロッカーなどに簿外の現金があると不正な処理を疑われるため、そうしたことがないよう調査当日までにチェックしておきます。

人件費

架空の人件費が計上されていないか、支払い方法はどうなっているか、などが調査されます。社員名簿・タイムカード・源泉徴収簿・給与の振込がわかる通帳などの証拠書類を用意しておきます。

関連会社との取引

関連グループ会社間の取引で売上が操作されていないかが調査されます。契約書や議事録などを用意し、取引や金額の妥当性を説明できるようにしておきます。

その他の経費

交際費や家電製品の購入費など、公私混同が起きやすい項目は重点的に調査されます。目的・金額の妥当性・時期などを明確に答えられるよう、領収書などの証拠書類をそろえておきましょう。

調査項目と準備書類の早見表

当日あわてないために、調査項目ごとに「何を確認されるか」「何を用意しておくか」を整理しておくと安心です。
調査項目確認されるポイント用意しておく主な書類
事業の概況経営状況・業務の流れ会社案内・組織図・商品案内
売上処理計上のタイミングと正確性注文書・納品書・請求書・売上帳
仕入・外注取引日と金額の正当性仕入・外注の請求書・契約書
現金管理帳簿残高と実残高の一致現金出納帳・金種表
人件費実在性・支払の事実社員名簿・タイムカード・源泉徴収簿・通帳
その他経費事業との関連性・公私の区分領収書・利用目的のメモ

帳簿や書類をデータで持っている場合の出し方

会計ソフトやクラウドで帳簿を管理し、請求書や領収書もデータで受け取っている——という事業者は珍しくありません。国税庁は2026年(令和8年)7月1日に「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」を改訂し、求められた帳簿書類等が電磁的記録(データ)である場合の出し方を明示しました。 それによると、「提示」は、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認できる状態にする方法によります。「提出」は、画面で確認できる状態でプリントアウトしたものを手渡す、調査担当者が持参した記録媒体へコピーする、e-Tax・オンラインストレージサービス・メールを利用して送るといった方法が示されています。提出を求める際には、税務当局におけるデータの取り扱いも説明されることになっており、提出を受けたデータは国税庁が定めた規則等に基づき厳重に管理され、保存期間の経過後は確実に廃棄(消去)されるとされています。 実務上のポイントは、当日その場で画面に出せるかどうかです。会計ソフトのログイン情報がわからない、保存先のクラウドに事務所からアクセスできない、担当者が不在——といった理由で画面に出せないと、紙の帳簿が見当たらないのと同じ状態になりかねません。どの範囲の書類をどれだけ保存しておく必要があるかは、税務調査の事前準備|必要書類・帳簿の保存期間で確認できます。

売上げの帳簿を出せないと、加算税が最大10%重くなる

準備のなかでも軽視できないのが売上げに関する帳簿です。令和4年度税制改正で加算税の加重措置が設けられ、2024年(令和6年)1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税・法人税(地方法人税)・消費税から適用されています。申告所得税なら令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、3月決算法人なら令和6年3月決算期分から対象です。 税務調査で「売上げ(業務に係る収入を含む)に関する調査に必要な帳簿」の提示等を求められたのに遅滞なく応じなかった場合や、帳簿に記載された売上金額が本来記載すべき金額に届かなかった場合には、その帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れ等に課される過少申告加算税・無申告加算税の割合が5%または10%加重されます。
帳簿の不提示や記載不足による過少申告加算税の加重を示す棒グラフ
過少申告加算税の原則部分(10%)を基準にした場合の加重後の割合。加重は帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れ等の部分に適用されます。
調査でのできごと加重される割合補足
帳簿の提示・提出をしなかった+10%納税地で保存し、すぐ出せる状態にしておく
売上金額の記載が、本来記載すべき金額の2分の1未満+10%記帳漏れが大きいケース
売上金額の記載が、本来記載すべき金額の3分の2未満(2分の1未満を除く)+5%記帳が部分的に欠けているケース

※対象は申告所得税・法人税(地方法人税)・消費税の過少申告加算税・無申告加算税で、重加算税・不納付加算税は加重の対象外です。本税の割合が重くなるわけでもありません。詳しくは国税庁「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」をご確認ください。

対象となる帳簿は、青色申告者・青色申告法人の仕訳帳・総勘定元帳、白色申告者などの売上帳といった、売上げ(収入)の金額が確認できる帳簿です。請求書の控えを袋に入れて保管しているだけでは帳簿とは認められませんが、取引の年月日・相手方・金額が記載された請求書控えを日付順に整理して保存しているなど、帳簿に相当する規則性を持たせて保存していれば帳簿として扱われます。 一方で、災害・システム障害・入院など「納税者の責めに帰すべき事由がない場合」には適用されません。また、仕訳帳・総勘定元帳が出せなくても、現金出納帳など他の帳簿に売上げが正しく記載されていれば加重されません。 裏を返せば、調査の開始日時までに帳簿を遅滞なく提示できるよう準備してあれば、この加重が生じることはありません。事前通知の段階で調査対象の帳簿は伝えられますから、そこから当日までの数日間の使い方が結果を分けます。

調査が終わったあとの流れも知っておく

調査は「当日」で終わりではありません。終わり方を知っておくと、当日の受け答えにも余裕が生まれます。

非違がなければ書面が届く

実地の調査の結果、更正決定等をすべきと認められない場合には、その旨を記載した書面(いわゆる是認通知)が届きます。ただし、その後の別の調査で新たに得られた情報に照らして非違があると認められるときは、同じ税目・課税期間でも再調査が行われることがあります。

修正申告に応じるかは納税者の任意

非違があると認められた場合は、その内容(追加で納めることになる金額とその理由など)が説明され、原則として修正申告または期限後申告が勧奨されます。この勧奨に応じるかどうかは納税者の任意で、応じなかったからといって不利な取扱いを受けることは基本的にありません。応じない場合は、調査結果に基づく更正処分が行われます。 注意したいのは、修正申告を行うと、その後に不服申立てをすることはできないという点です(更正の請求はできます)。内容に納得できない部分が残るなら、その場で押し切られず、更正処分を待って再調査の請求・審査請求で争う選択肢もあります。争い方の実務は税務調査の対策【応用編】|交渉・不服申立て・加算税の実務にまとめています。判断に迷うときは税理士に相談しましょう。

2026年9月24日の国税システム更改で変わること

調査の前後で修正申告や更正の請求、各種届出を予定している方は、国税庁が2026年(令和8年)9月24日に予定している国税システムの更改にも注意してください。国税庁「国税システムの更改について」で案内されている内容のうち、実務に効くのは次の4点です。
変わること内容
e-Taxが使えない期間がある2026年9月19日0:00〜9月24日8:30と9月26日0:00〜24:00はメンテナンスのため利用不可(e-Tax公式のお知らせ)
申告書等の様式が変わる一部の書面の申告書・申請書・届出書・法定調書が新様式に。申告書の控用はなくなり、配色は原則白黒に
通知に「お問い合わせ番号」が付く税務署から届く通知等に13桁の番号が印字され、問い合わせの際に伝えるとやり取りが早くなる。納付書の「整理番号」欄(8桁)もこの番号欄に変わる
処分通知等の電子交付が拡大電子交付の対象が広がり、同意方法が「手続の都度」から「事前の一括同意」へ。これまで電子交付を使っていた方も、9月24日以降にe-Tax上で一括同意の手続が必要
調査結果に基づく更正処分の通知をどう受け取るかにも関わる変更ですので、顧問税理士がいる場合は受け取り方法を早めにすり合わせておくと安心です。

場面別・税務調査のよくある疑問(FAQ)

Q. 調査の連絡が電話で来たら、まず何をすればよいですか?

A. 慌てて即答せず、「調査か行政指導か」と「対象の税目・課税期間」を確認してください。そのうえで顧問税理士がいれば必ず共有し、立ち会いを依頼しましょう。日程は業務の都合に応じて相談できます。

Q. 税務調査は何年分さかのぼって行われますか?

A. 一般的には直近3年分が中心ですが、申告内容に応じて5年分、偽りその他不正の行為(仮装・隠蔽)がある場合は最大7年分まで対象になり得ます。日頃から帳簿と証憑を整理しておくことが最善の備えです。

Q. 通知された税目・期間以外の書類も見せてと言われたら応じるべきですか?

A. 通知された年度の申告内容を確認するために他の年度の資料が必要になることはあり、これは対象が広がったわけではありません。一方、通知していない年度や税目に非違が疑われる場合は、あらためて説明と同意を得たうえで対象が追加されることがあります。理由の説明までは義務づけられていないため、納得できない点は率直に質問し、記録しておきましょう。

Q. その場で答えられない質問をされたらどうすればよいですか?

A. 推測で曖昧に答えると、かえって誤解を招きます。わからないことは「確認してから回答します」と伝え、後日正確に回答すれば問題ありません。無理に取り繕わないことが大切です。

Q. 帳簿の一部が見当たらない状態で調査日を迎えそうです

A. 事前通知から当日までの間に、売上げが確認できる帳簿(売上帳・現金出納帳など)をそろえることを最優先にしてください。加重措置は仕訳帳・総勘定元帳だけで判定されるわけではなく、他の帳簿で売上げが正しく確認できれば加重されません。災害や入院など不可抗力の場合は、罹災証明書などで事情を説明できるようにしておきましょう。

※本記事は2026年9月時点の法令・国税庁公表資料に基づいています。加算税の割合や手続は改正されることがあるため、最新の取り扱いは国税庁ホームページまたは所轄の税務署でご確認ください。

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税務調査を税理士に依頼するメリットとは|役割・立会い・費用相場

税務調査の対応を税理士に依頼するイメージ
税理士の業務と税務調査の対応を税理士に依頼するメリットについて解説しています。

税理士の業務と税務調査での役割

税務調査対応を税理士に依頼する前に、そもそも税理士とはどのような業務を行うのかを知っておく必要があります。

税理士にできること

税理士の業務については税理士法の2条1項で1.税務代理、2.税務書類の作成、3.税務相談の3つに定められています。このうち税務書類の作成と税務相談に関しては、一般的に税理士が行う仕事としてイメージしやすい内容でしょう。では税務代理とはどういうことなのでしょうか。

税理士にしかできないこと

実は税理士の税務調査対応はこの税務代理業務に該当します。税務署に申告を代行することはもちろん、納税者の代理人として税務調査の際に主張や陳述を行ったり、またその処分に対して不服申立てができるのは税理士だけなのです。 仮に税務に関してすごく詳しい人が現れて、無償でやってあげると言われても、その人が税理士資格を持っていなければできないと法律で定められています。つまり税務調査が入って誰かに助けを求めたいという時は、税理士に相談することが唯一の方法というわけです。

税理士が税務調査対応を行うメリット

税務調査対応は必ず税理士に依頼しなければならないということはありません。法人の代表者または個人事業主が一人で対応することはできますが、ほぼ勝ち目はないでしょう。 毎年変わる税法や税務の知識が無ければ、調査官が納得するような反論ができないからです。では税理士に立会いや対応をお願いするとどのようなメリットがあるのか挙げていきましょう。
  • 税務調査の前に適切な準備を行うので、当日に大きなミスが発生しない
  • 税法をしっかり理解しているので、調査官とスムーズなやりとり・交渉が可能
  • 問題点を指摘された場合でも、スピーディな対応ができるので調査が長引かない
  • 調査官との交渉をすべて任せることができるので、精神的負担が軽減される
  • 不当な指摘については税法に基づき交渉するので、不要な追徴課税を回避できる
  • 調査後の修正申告や不服申立ての手続きなどについても対応してもらえる
税理士に依頼すれば報酬は発生しますが、本来納める必要のない追徴課税を納めることがなくなったり、自らが交渉しなくても無事に調査を終えることができるなど考えれば、メリットの方が大きいと言えるでしょう。

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税務調査は税理士に立ち会いを依頼すべきな理由

税務署による税務調査が行われる際は、原則として社長もしくは個人事業主本人が立ち会います。たとえ経理や会計がわからなくても立ち会わねばならず、わからない場合は当然質問に答えることはできません。そこで、税務調査が入る場合は本人以外に税理士に立ち合ってもらうことができます。税理士は他人の税務を代理できるため、税務調査の立ち合いも可能なのです。ただし、そのときは社長や個人事業主も一緒に立ち会わなければなりません。

税理士に立ち会いを依頼するメリット

税理士には立ち会う義務はなく、あくまで「立ち会いが可能である」だけなので、必ずしも立ち会わなければならないわけではありません。それなら依頼しない方が良いのでは?と思ってしまいますが、実は依頼したほうが良い場合が2つあります。1つは税金の負担を減らしたい場合、もう1つは税務署とのやり取りの負担を減らしたい場合です。

税金の負担を減らしたい

税務調査は「税金を正しく申告させるための指導」とされていますが、実際には追徴税額を取るという目的があります。ここで気をつけたいのは、税務調査でされた質問の答え次第では、経費として計上したものが認められないケースがあるということです。税務署は税金を取るのが仕事のため、正当な経費なのかを初めから疑ってかかります。事業で使っているから正当な経費だと説明したとしても、本当に経費なのかとしつこく質問してきます。あいまいに答えると経費として認められないだけでなく、追徴課税を取られてしまうことがあります。 そのため、税務署と交渉する場合は会計や税法の豊富な知識が不可欠です。しかし、税理士はその道のプロなので上手く交渉してくれます。もちろん報酬は必要ですが、その分のメリットはあります。

税務署とのやり取りを減らしたい

税務調査はスタートから終了まで時間がかかります。これは、当日に調査が入るだけでなく、帳簿や請求書などを持ち帰ってから細かい点を調べるためです。その後、内容や契約書の提示を求めたり、これは経費にならないといった指摘をしてきます。これらの質問や指摘は人によっては膨大になるため、これら全てに回答するには非常に苦労します。 税務署からの質問に全て答え終わると、「どのように終わらせるつもりなのか」を決めなければなりません。すなわち、税務署からの提案に対して、どれを認めて認めないかを判断する必要があります。この際、税務署の言いなりになると高い税金が課せられることがあるため、早く調査を終わらせることを意識しながらも、税負担がなるべく少なくなるような判断をしなければなりません。知識がない中で適切な判断をするのは至難の業のため、税理士へ任せることをおすすめします。

税理士を探すなら

税務調査が入るとわかった時点で税理士に依頼した方が得策と言えます。もちろん顧問税理士がいる方なら問題がありませんが、いない場合はご自分で探すことになります。最近ではインターネット上で探すことも可能です。知人からの紹介の場合は実際に自分に合った人かどうかはわからないうえ、たとえ合わなくても知人の紹介だから断りにくいということもあるでしょう。しかしインターネットで検索して見つけた税理士の場合は、ピンとこない場合は断れるので精神的に楽です。 また、注意したいのは全ての税理士が税務調査に詳しい保証はないということです。税理士試験では、税務調査に関する詳しい知識が問われるわけではありません。そのため全員が税務調査に強いわけではなく、中には苦手とする税理士もいます。依頼するときには、税務調査に慣れていること、経験があることを確認した方が良いでしょう。

税務調査を税理士に依頼する際の報酬とは

税理士の対応内容と報酬

先述しましたが、税理士に対応を依頼できる内容は大きくわけて「税務調査」「書類作成」「税務相談」の3つになります。そのなかでも特に重要なことが「税務調査」。申告内容の正確さや妥当性が求められる、非常にセンシティブな作業になります。 税務調査はおもに「準備調査」「実地調査」の2段階に分かれており、さらに、実地調査は「一般調査」「現況調査」「特別調査」「反面調査」の4つに分類されます。 これらの調査を踏まえて、もし誤りなどがあった場合には、修正申告の作業をする必要があり、さらに追加で納税をしなければならないこともあります。

税務調査の税理士費用の相場

税務調査にかかる税理士の報酬は、調査にかかった日数分ごとに算出されることがほとんどです(税理士によって異なる可能性あり)。また、もし修正申告を行う必要があった場合には、別途料金がかかります。その大まかな相場は以下のとおりです。
  • 税務調査にかかわる立ち合いの報酬:3~5万円(1日)
  • 修正申告の報酬:10~20万円
ただし、税理士と顧問契約をしている場合には、契約金としてあらかじめ支払っているお金以外の費用が発生しないことがほとんどです。くわしくは最寄りの税理士に確認をとっておくといいでしょう。なお、上記はあくまで一般的な目安であり、調査の規模や日数、修正申告の有無、事務所の方針によって料金は異なります。

税理士への依頼を検討したほうがいい理由

会社の中でできることは会社の中で完結した方がいいというのは考え方として間違ってはいませんが、専門性の強いものであれば専門家に任せてしまったほうが楽であり、業務の効率化にもつながります。特に税務に関することは、素人には手に負えない部分があるため形を整えることはできたとしても、いざ税務調査が入ることになった時に大変な労力を割くことになってしまうかもしれません。 そのため、税務のような専門性の高い業務に関しては税理士に任せたほうが、企業としても安心して本来の業務を行うことができるでしょう。そこで疑問となってくるのが、税理士というのは一体何をしてくれる存在なのかということですが、一言でいえばその名前の通り税務に関することを全般を代理で行ってくれます。 確定申告をするための書類の作成をしてもらうことや、確定申告そのものを代わりに行ってもらうことも可能です。それだけでなく税務に関する相談もできますから、どこまでが経費として認められてどこまでが認められないのかということもアドバイスしてくれる存在となります。 そして、税務調査が入ったときに対応してくれることも税理士に依頼をする大きなメリットとして挙げることができるでしょう。確定申告の書類の作成や確定申告自体は一個人でもそれほど難しい作業ではないため、ここまでは会社の中で完結させることも可能だと思います。しかし、税務調査の対応というのはとても素人の手に負えるものではなく、調査に入られてしまい税務署の相手をすることになるとそれだけで業務に支障が出てしまうことが考えられます。 何もやましいことがなくても、適切な会計処理をしていたとしても税務調査に素人が付き合うというのは非常に大きな労力がかかってしまいますし、対応を誤れば支払わなくて済む税金を取られてしまうという可能性も出てきます。税務署は企業の敵ではありませんが、企業として活動をしている以上は税務を正しい知識を持って正しい処理をしていると見てきますから、適切な対応をすることができなければ追徴課税という最悪の事態に繋がってしまうかもしれません。 また最悪の事態にならないにしても、税務調査に入られてしまい会社の中のリソースを調査に割かなければならないという負担は非常に大きく、調査が入っているうちはスムーズな業務を行うことができずに支障が出てしまうでしょう。そのような時に専任の税理士がいれば、専門の知識を持った人が税務調査に対応をしてくれるため業務に支障が出ることなく、また調査の協力もスムーズに行うことができます。日頃から税務などに関して相談し、税理士にも企業の内情というものを知ってもらうことで、いざ税務調査が入った場合でも、申告の内容が正しいのか確認するだけで終わるため余計な時間を取られてしまうということはありません。 税務調査に入られる可能性というのは決して高くはありませんが、いざ入ったときの負担というのは税理士がいるかいないかによって大きく変わってくるでしょう。また、税理士がいない場合に会計処理で誤りがあった場合、結果として調査が入りやすくなってしまう可能性もあるだけに、税務に関することは会社の中で完結をしようとせずに、専門家に任せてしまったほうがメリットは大きいといえます。税務や会計業務というのはそれ自体が会社に利益をもたらすものではありませんから、余計なリソースを割いて業務に支障をきたすようなことがあるのであれば素直に税理士に相談をしておいたほうが企業にとってはプラスだといえるのです。 コスト削減は会社にとって最優先課題のひとつですが、税務に関してはお金をかけて税理士に依頼をすることによってトータルでコストを抑えることができるという考えを持っておくことも大切でしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 税務調査には必ず税理士に立ち会ってもらわないといけませんか?

A. 義務ではありません。法人の代表者や個人事業主が一人で対応することもできます。ただし、税法の知識がないまま調査官と交渉するのは負担が大きく、受け答え次第では本来認められる経費が否認されることもあるため、税理士の立会いを依頼する方が安心です。

Q. 顧問税理士がいなくても、税務調査だけ依頼できますか?

A. できます。税務調査が入るとわかった時点でスポット(単発)で依頼できる税理士事務所もあります。その際は、税務調査の対応経験が豊富かどうかを確認してから依頼すると安心です。

Q. 税理士なら誰でも税務調査に強いのですか?

A. いいえ。税理士試験で税務調査の実務が詳しく問われるわけではないため、得意・不得意があります。依頼前に税務調査の立会い実績・経験を確認しましょう。

Q. 費用をかけてでも依頼する価値はありますか?

A. 報酬は発生しますが、不当な追徴課税を避けられたり、調査対応にかかる時間と精神的負担を大きく減らせたりするため、結果的にトータルのコストを抑えられるケースが少なくありません。