税理士に依頼するメリット

税理士の業務と税務調査の対応を税理士に依頼するメリットについて解説しています。

税理士の業務と税務調査での役割

税務調査対応を税理士に依頼する前に、そもそも税理士とはどのような業務を行うのかを知っておく必要があります。

税理士にできること

税理士の業務については税理士法の2条1項で1.税務代理、2.税務書類の作成、3.税務相談の3つに定められています。このうち税務書類の作成と税務相談に関しては、一般的に税理士が行う仕事としてイメージしやすい内容でしょう。では税務代理とはどういうことなのでしょうか。

税理士にしかできないこと

実は税理士の税務調査対応はこの税務代理業務に該当します。税務署に申告を代行することはもちろん、納税者の代理人として税務調査の際に主張や陳述を行ったり、またその処分に対して不服申立てができるのは税理士だけなのです。

仮に税務に関してすごく詳しい人が現れて、無償でやってあげると言われても、その人が税理士資格を持っていなければできないと法律で定められています。つまり税務調査が入って誰かに助けを求めたいという時は、税理士に相談することが唯一の方法というわけです。

税理士が税務調査対応を行うメリット

税務調査対応は必ず税理士に依頼しなければならないということはありません。法人の代表者または個人事業主が一人で対応することはできますが、ほぼ勝ち目はないでしょう。

毎年変わる税法や税務の知識が無ければ、調査官が納得するような反論ができないからです。では税理士に立会いや対応をお願いするとどのようなメリットがあるのか挙げていきましょう。

  • 税務調査の前に適切な準備を行うので、当日に大きなミスが発生しない
  • 税法をしっかり理解しているので、調査官とスムーズなやりとり・交渉が可能
  • 問題点を指摘された場合でも、スピーディな対応ができるので調査が長引かない
  • 調査官との交渉をすべて任せることができるので、精神的負担が軽減される
  • 不当な指摘については税法に基づき交渉するので、不要な追徴課税を回避できる
  • 調査後の修正申告や不服申立ての手続きなどについても対応してもらえる

税理士に依頼すれば報酬は発生しますが、本来納める必要のない追徴課税を納めることがなくなったり、自らが交渉しなくても無事に調査を終えることができるなど考えれば、メリットの方が大きいと言えるでしょう。

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税務調査は税理士に立ち会いを依頼すべきな理由

税務署による税務調査が行われる際は、原則として社長もしくは個人事業主本人が立ち会います。たとえ経理や会計がわからなくても立ち会わねばならず、わからない場合は当然質問に答えることはできません。そこで、税務調査が入る場合は本人以外に税理士に立ち合ってもらうことができます。税理士は他人の税務を代理できるため、税務調査の立ち合いも可能なのです。ただし、そのときは社長や個人事業主も一緒に立ち会わなければなりません。

税理士に立ち会いを依頼するメリット

税理士には立ち会う義務はなく、あくまで「立ち会いが可能である」だけなので、必ずしも立ち会わなければならないわけではありません。それなら依頼しない方が良いのでは?と思ってしまいますが、実は依頼したほうが良い場合が2つあります。1つは税金の負担を減らしたい場合、もう1つは税務署とのやり取りの負担を減らしたい場合です。

税金の負担を減らしたい

税務調査は「税金を正しく申告させるための指導」とされていますが、実際には追徴税額を取るという目的があります。ここで気をつけたいのは、税務調査でされた質問の答え次第では、経費として計上したものが認められないケースがあるということです。税務署は税金を取るのが仕事のため、正当な経費なのかを初めから疑ってかかります。事業で使っているから正当な経費だと説明したとしても、本当に経費なのかとしつこく質問してきます。あいまいに答えると経費として認められないだけでなく、追徴課税を取られてしまいます。

そのため、税務署と交渉する場合は会計や税法の豊富な知識が不可欠です。しかし、税理士はその道のプロなので上手く交渉してくれます。もちろん報酬は必要ですが、その分のメリットはあります。

税務署とのやり取りを減らしたい

税務調査はスタートから終了まで時間がかかります。これは、当日に調査が入るだけでなく、帳簿や請求書などを持ち帰ってから細かい点を調べるためです。その後、内容や契約書の提示を求めたり、これは経費にならないといった指摘をしてきます。これらの質問や指摘は人によっては膨大になるため、これら全てに回答するには非常に苦労します。

税務署からの質問に全て答え終わると、「どのように終わらせるつもりなのか」を決めなければなりません。すなわち、税務署からの提案に対して、どれを認めて認めないかを判断する必要があります。この際、税務署の言いなりになると高い税金が課せられることがあるため、早く調査を終わらせることを意識しながらも、税負担がなるべく少なくなるような判断をしなければなりません。知識がない中で適切な判断をするのは至難の業のため、税理士へ任せることをおすすめします。

税理士を探すなら

税務調査が入るとわかった時点で税理士に依頼した方が得策と言えます。もちろん顧問税理士がいる方なら問題がありませんが、いない場合はご自分で探すことになります。最近ではインターネット上で探すことも可能です。知人からの紹介の場合は実際に自分に合った人かどうかはわからないうえ、たとえ合わなくても知人の紹介だから断りにくいということもあるでしょう。しかしインターネットで検索して見つけた税理士の場合は、ピンとこない場合は断れるので精神的に楽です。

また、注意したいのは全ての税理士が税務調査に詳しい保証はないということです。税理士試験では、税務調査に関する詳しい知識が問われるわけではありません。そのため全員が税務調査に強いわけではなく、中には苦手とする税理士もいます。依頼するときには、税務調査に慣れていること、経験があることを確認した方が良いでしょう。

税務調査を税理士に依頼する際の報酬とは

税理士の対応内容と報酬

先述しましたが、税理士に対応を依頼できる内容は大きくわけて「税務調査」「書類作成」「税務相談」の3つになります。そのなかでも特に重要なことが「税務調査」。申告内容の正確さや妥当性が求められる、非常にセンシティブな作業になります。

税務調査はおもに「準備調査」「実地調査」の2段階に分かれており、さらに、実地調査は「一般調査」「現況調査」「特別調査」「反面調査」の4つに分類されます。

これらの調査を踏まえて、もし誤りなどがあった場合には、修正申告の作業をする必要があり、さらに追加で納税をしなければならないこともあります。

税務調査の税理士費用の相場

税務調査にかかる税理士の報酬は、調査にかかった日数分ごとに算出されることがほとんどです(税理士によって異なる可能性あり)。また、もし修正申告を行う必要があった場合には、別途料金がかかります。その大まかな相場は以下のとおりです。

  • 税務調査にかかわる立ち合いの報酬:3~5万円(1日)
  • 修正申告の報酬:10~20万円

ただし、税理士と顧問契約をしている場合には、契約金としてあらかじめ支払っているお金以外の費用が発生しないことがほとんどです。くわしくは最寄りの税理士に確認をとっておくといいでしょう。

税理士への依頼を検討したほうがいい理由

会社の中でできることは会社の中で完結した方がいいというのは考え方として間違ってはいませんが、専門性の強いものであれば専門家に任せてしまったほうが楽であり、業務の効率化にもつながります。特に税務に関することは、素人には手に負えない部分があるため形を整えることはできたとしても、いざ税務調査が入ることになった時に大変な労力を割くことになってしまうかもしれません。

そのため、税務のような専門性の高い業務に関しては税理士に任せたほうが、企業としても安心して本来の業務を行うことができるでしょう。そこで疑問となってくるのが、税理士というのは一体何をしてくれる存在なのかということですが、一言でいえばその名前の通り税務に関することを全般を代理で行ってくれます。

確定申告をするための書類の作成をしてもらうことや、確定申告そのものを代わりに行ってもらうことも可能です。それだけでなく税務に関する相談もできますから、どこまでが経費として認められてどこまでが認められないのかということもアドバイスしてくれる存在となります。

そして、税務調査が入ったときに対応してくれることも税理士に依頼をする大きなメリットとして挙げることができるでしょう。確定申告の書類の作成や確定申告自体は一個人でもそれほど難しい作業ではないため、ここまでは会社の中で完結させることも可能だと思います。しかし、税務調査の対応というのはとても素人の手に負えるものではなく、調査に入られてしまい税務署の相手をすることになるとそれだけで業務に支障が出てしまうことが考えられます。

何もやましいことがなくても、適切な会計処理をしていたとしても税務調査に素人が付き合うというのは非常に大きな労力がかかってしまいますし、対応を誤れば支払わなくて済む税金を取られてしまうという可能性も出てきます。税務署は企業の敵ではありませんが、企業として活動をしている以上は税務を正しい知識を持って正しい処理をしていると見てきますから、適切な対応をすることができなければ追徴課税という最悪の事態に繋がってしまうかもしれません。

また最悪の事態にならないにしても、税務調査に入られてしまい会社の中のリソースを調査に割かなければならないという負担は非常に大きく、調査が入っているうちはスムーズな業務を行うことができずに支障が出てしまうでしょう。そのような時に専任の税理士がいれば、専門の知識を持った人が税務調査に対応をしてくれるため業務に支障が出ることなく、また調査の協力もスムーズに行うことができます。日頃から税務などに関して相談し、税理士にも企業の内情というものを知ってもらうことで、いざ税務調査が入った場合でも、申告の内容が正しいのか確認するだけで終わるため余計な時間を取られてしまうということはありません。

税務調査に入られる可能性というのは決して高くはありませんが、いざ入ったときの負担というのは税理士がいるかいないかによって大きく変わってくるでしょう。また、税理士がいない場合に会計処理で誤りがあった場合、結果として調査が入りやすくなってしまう可能性もあるだけに、税務に関することは会社の中で完結をしようとせずに、専門家に任せてしまったほうがメリットは大きいといえます。税務や会計業務というのはそれ自体が会社に利益をもたらすものではありませんから、余計なリソースを割いて業務に支障をきたすようなことがあるのであれば素直に税理士に相談をしておいたほうが企業にとってはプラスだといえるのです。

コスト削減は会社にとって最優先課題のひとつですが、税務に関してはお金をかけて税理士に依頼をすることによってトータルでコストを抑えることができるという考えを持っておくことも大切でしょう。