税務調査のココが知りたい!反面調査ってなに?注意点は?

反面調査とは?

反面調査とは税務調査の手法の1つで、主に調査対象者の取引先に対して実施するものです。

反面調査はどんな時に実施されるのかというと、本調査先で脱税や脱税の疑いがあった場合はもちろんですが、非協力的な態度・不誠実な態度・帳簿の不備があった時も実施されます。

非協力的な態度というのは、質問しているのに答えない、帳簿の提出を要求しているのに提出しない、などの態度です。

不誠実な態度というのは、質問に答えても嘘の回答をして本当のことを言わない、何回も要求しないと帳簿を提出しないような態度です。

帳簿の不備は記帳が正しくなかったり、保存していなかったりする状態になります。

調査官に対して以上のような態度をとってしまえば、税務調査が成り立ちません。

税務調査が成り立たないと、調査官がこれだけでは調査が終わらないと判断し、反面調査が実施されるというわけです。

また、嘘と分かる答弁をし続けて、帳簿が中々提出されないと、その会社を調査官が信用できないと判断しますし、帳簿の不備がありすぎても調査官が十分な調査ができないと判断して、反面調査をする可能性が上がります。

反面調査は拒否できる?

税務調査をテーマにした書籍やホームページでは、「納税者の了解を得られない反面調査は認められない」、「納税者の了解を得られない反面調査は違法である」といった文章が散見されます。

しかし、違法かと言われると、反面調査は違法ではありません。それは法人税法154条他の規定による質問検査権に記載されているからです。

さらに、東京高裁の判決では、納税者の了解を得られない反面調査を認めています。

内容は、反面調査は諸般の事情を鑑み、客観的な必要性もあり、かつ社会通念上相当な限度にとどまる限り、その時期・程度について権限ある税務職員の合理的な判断に委ねられる、というものです。

最近では他の判例でも、同じような判断が多く見られます。

反面調査を実施されるとなった場合、取引先に迷惑がかかるから…、取引先の信用をなくすから…という理由だけでは拒否できないということです。

国税庁が掲げる税務運営方針には、反面調査は客観的にやむを得ないと判断する場合に限り実施すると掲載されています。

税務運営方針を厳密に守るのであれば、反面調査の範囲は限定されるのです。

ちなみに客観的というのは企業側から見て、ということではなく、調査官から見てという、調査官の主観によることになっています。

法人税法では、反面調査を拒否する、口裏合わせの嘘の答弁をした場合は、1年以下の懲役か50万円以下の罰金と規定されているので注意が必要です。

反面調査の注意点とは?

実際に反面調査を受ける時の注意点を知っておくと、慌てずに済むと思っている人がいますが、そんなことはありません。

それは、事前通知がある一般の税務調査と違って、反面調査が実施される時には、電話連絡も何もなく、いきなり来社するからです。

心構えをしていても急に来社されるので慌てる人がほとんどです。

どうしていきなりなのかというと、調査官は本調査先と反面調査先が口裏合わせをしたり、証拠書類の改ざんをしたりすることを、警戒しているからです。

反面調査が必要だと強く判断された会社ほど、警戒されやすくなります。

しかし、あくまでも調査より企業活動が優先されるので、やむを得ない状況だった場合は、延期を申し出ても罰せられることはないので安心してください。

例えば、反面調査に対応する代表者が出張や会議で不在だった時などです。そういった時の調査官は用件を伝えることなく、帰ってしまうことがあるそうです。

とにかく反面調査で最初に注意する点が、いきなりの来社というわけです。

次に注意する時は、調査官が来社した時に身分証明書の提示を求めるということです。

調査官が来社した時は何か目的がある時だけになります。身分証明書・所属・氏名を確認したら、来社理由を尋ねてみて下さい。

反面調査だった場合は、取引先・取引年月日・取引内容などを確認するようにします。その際は調査官から名刺を必ず受け取ります。

反面調査を受ける時は税務調査の時と同じように、どこの勘定科目の帳簿を見ているのか、請求書を見ているのかはっきり見極めることです。

見極めておくことで反面調査の相手先がどこか確認できるので、企業側で情報を把握することにつながります。

調査官はきちんと捜査するイメージがありますが、中には反面調査に全く関係のない書類の提出を求めてきたり、企業担当者の見ていない所で本調査先以外の資料を集めたり、質問検査権を濫用したような行動をとる調査官がいます。

こんな行動を阻止するためにも調査官の行動を監視することは絶対に必要です。

長年調査官としてキャリアがある調査官などは、目で帳簿や書類を見て担当者が席を外した時に手帳に控えるなど、隙を見て行動に移す人もいるそうです。

職権濫用をされないために、調査する前に他の取引先の内容を控えるようなことはしないで欲しいと明確に発言しておくといいかもしれません。

反面調査が実施される一般的な理由

反面調査が実施される一般的な理由とは、相手先が税務調査を受けたとき、税務署として疑問に思う領収書が出てきた場合になります。

例えば、相手先が自社の領収書を経費に計上していた場合、当社で売上として計上されているかの確認、相手先の売上が過少ではないかの疑いがある時に、当社の方で経費として計上されていないか確認がされます。

自社が領収書を切っているので、売上に計上されていない場合は脱税ほう助となってしまいます。

このような会社とは今後の取引をこちらから願い下げですが、反面調査が実施された結果を理由に相手側から取引を停止されることもあります。

反面調査をされないための対策

税務署が反面調査をする時は、必要だと判断した時になります。そう考えると必要がないと判断した時は反面調査はしないということになります。

理由は非常にシンプルなのですが、実際には税務署と会社で見解の相違が見受けられます。

どの企業でも、自分の会社の評判が悪くなることから、反面調査はされたくないものです。

例えば、得意先や仕入れ先に反面調査が入った場合は、関係性が悪化して取引停止になったり、周辺に噂が広まり風評被害にあったりすることがあります。

また、融資を受けた金融機関への反面調査が実施された場合は、不信感が芽生えて新規融資などの融資交渉が困難になることもあります。

そこで反面調査をされないためには、反面調査が必要と判断される行為や話をしないこと、調査官が反面調査を実施しそうな感じの言動をして、調査の理由が事実でない場合は徹底的に調査官に主張して反面調査を阻止するしかありません。

反面調査が必要と判断される行為や話をしないというのは、非協力的な態度や嘘の答弁をしないことです。自ら危険な態度をとらずに、正直に税務調査を受けるようにするということになります。

必要書類もきちんと準備しておいたり、税務調査を意識して普段から書類を整理整頓しておいたりすれば、反面調査は必要ないという判断をされる可能性が高くなります。

協力的な姿勢を見せることができれば、反面調査の可能性がもっと低くできるので、税務調査の時は気を付けてください。

まとめ

反面調査について様々な情報を紹介しましたが、お役に立ったでしょうか?

普段から税務調査を意識して、税務処理をきちんとしておくと安心です。

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