クリニック・病院・医療法人・歯科医院・開業医の税務調査

クリニック・病院・医療法人・歯科医院・開業医と聞くと公的なビジネスの側面が強いので、税務調査と無縁というイメージもありますが、税務調査に入られることはあるのでしょうか?

 

ドクターにも税務調査は入る?

保険診療報酬を主体としている開業医・医療法人は税務調査と無縁なイメージがありますが、実は調査の対象となりやすい職種の1つにあたります。

国税庁が公開している「平成24年度 所得税及び消費税調査等の状況について」では「1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」では上位常連のキャバクラ、風俗を押さえ「産婦人科医」が1位、7位に「内科医」となっています。

同じ業種から2種がランク入りするという事は非常に大きなウエイトを占めている事になります。

なお同年の産婦人科医の一件あたりの追徴税額は1,300万円とかなりの高額となっています。近年は上位10業種入りまではしていませんが、常連職種として税務調査のターゲットとなる確率は依然としてかなり高い業種といえます。

確定申告の所得申告漏れが多い業種ランキング

引用;国税庁 平成24事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について
https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/release/data/h25/shotoku_shohi_jokyo/index.htm

 

統計からみる開業医・医療法人の税務調査

国税庁が公開している統計から2004年に整形外科(2位)、2005年に病院(1位)が税務調査の主対象となっており、近年では2011年に整形外科(5位)、2012年に産婦人科医(1位)、内科医(7位)が入っています。
このことから医業に対する税務調査は7年前後の周期で集中的に行われている事が予測されます。
7年間とは最大7年遡って追徴できる重加算税の期間と同様である事から、最も効率よく課税ができる周期であるほか、2年続けて医業に集中している傾向から税務署内で調査官の医業対策の税務知識を高めたうえで行っていることも予想されます。

2018年に行われた税務調査では開業医・医療法人は主対象となってはいませんでした。
そのため2019年から2020年に医業を対象とした税務調査が増加する可能性があります。

 

開業医・医療法人に税務調査が入る頻度は?

開業医・医療法人に対する調査件数は公開されていませんが、7~10年に1度の確率で入るケースが多いようです。
全体の税務調査がはいる確率(実調率)が3%である事を考えると、入りやすい部類であることがわかります。
また、過去に税務調査で申告漏れ等の指摘があった場合には、より高い確率かつ短い期間で税務調査が入るケースが想定されます。
前回の調査で指摘を受けている開業医・医療法人は次回の調査に早期に備えるため税理士と相談しておく方がよいでしょう。

 

開業医・医療法人はなぜ狙われるのか?

保険診療報酬が主な開業医・医療法人は比較的お金の流れのわかりやすい業種です。申告漏れもあまり多くはないと思われます。
見られやすいポイントとしては自由診療にあたるものが指摘されやすい傾向があります。具体的には健康診断、美容治療、予防接種などが挙げられます。
また、医療器具やサプリメントの物販(OTC)を行っている場合も申告漏れに注意が必要です。
また、学会等への参加が多い医業では交際費の取り扱いも指摘の多い箇所となってきます。
事業に関わる飲食費等については「誰と」「なんのために」行ったものなのかを領収書等に記録しておくなど対策が必要と言えます。

医療法人はもちろん、開業医も一般の個人事業主と比較して課税所得が高い場合が多い反面、税務会計への意識が高い方が少ないため税務調査官からすれば定期的に高額の申告漏が発生する絶好のターゲットでもあります。

日頃の会計を適切に行う事が最も効果的ではありますが、準備する間もなく税務調査が入ってしまった場合には税務調査専門の税理士に相談し対策を立てることが懸命といえるでしょう。

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