税務調査を受ける際の心得や対応のポイントについて解説しています。
やってはいけないことをしっかり把握
税務調査には強制調査と任意調査がありますが、よほど悪質な脱税の疑いがある場合を除いて、ほとんどは任意調査が行われます。任意と言っても調査を拒否することはできません。調査当日までに準備をすることが必須になりますが、その前にやってはいけないことを押さえておきましょう。
調査される側のNG行動
調査を拒否すること以外に妨害や忌避もやってはいけません。また調査官の質問に答えなかったり、偽りの答弁、嘘の記載や記録がされた帳簿書類の提出ももちろんだめです。これらを行うと一年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられますので注意が必要です。
調査する側のNG行動
また調査する側もやってはいけないことがあります。調査官が税務調査できるのは質問検査権の範囲内とされています。相手を拘束したり勝手に差し押さえをすることはできません。その他、事業に無関係の私物や自宅に関しては本人の同意が無い限り検査することはできません。
会社に私物を置いていると調査の流れの中で、見られてしまうことも考えられますので、事業に関係ないものは自宅に持ち帰っておいた方が安全です。
主な調査項目と対応のポイント
税務調査で質問される項目はだいたい決まっています。次のような内容で事前に調査のシミュレーションを行い、必要書類を準備したり質問に速やかに答えられるように準備しておくことが重要です。
会社や事業の概況
会社の経営全般の状況や日常業務の流れについて質問されます。会社案内や組織図、商品案内などの資料を用意して、具体的に説明できるようにしておきましょう。
売上処理
受注してから売上が計上されるまでの流れについて質問されます。計上のタイミングが曖昧な説明にならないように注意して、注文書や納品書、請求書が流れに沿って発行され、会社の基準通り売上計上されていることがわかる資料を用意します。
仕入・外注処理
取引日が明確にわかる仕入や外注費に関する書類を準備しておきます。金額に正当性があることを説明できるように根拠を明らかにしておくことがポイントです。
現金管理
現金出納帳と金庫などにある現金残高が一致しているかを確認します。机やロッカーなどに現金があると不正な処理をしていることを疑われるので、そのようなことがないように調査当日までにチェックしておきます。
人件費
架空の人件費が計上されていないか、支払い方法はどうなっているかなどが調査されます。社員名簿やタイムカード、源泉徴収簿、給与を振込んだことがわかる通帳などの証拠書類を用意しておきます。
関連会社との取引
関連グループ会社間の取引で売上が操作されていないか調査されます。契約書や議事録などを用意して、取引や金額の妥当性が説明できるようにしておきます。
その他の経費
交際費や家電製品購入費など、公私混同が起きやすい項目は重点的に調査されます。目的や金額の妥当性、時期などが明確に答えられるように領収書などの証拠書類を揃えておきましょう。