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- 税務調査のコツ|やってはいけないこと・準備すべき書類を専門家が解説
税務調査を受けるときの心得と、当日までに準備しておきたい対応のポイントを、税務調査の現場に精通した専門家の視点で整理しました。正しく備えれば、調査は決して怖いものではありません。落ち着いて対応するための要点を確認していきましょう。
まず押さえる「やってはいけないこと」
税務調査には強制調査と任意調査がありますが、よほど悪質な脱税の疑いがある場合を除き、実施されるほとんどは任意調査です。「任意」とはいっても、正当な理由なく調査を拒否することはできません(受忍義務)。調査当日までの準備が欠かせませんが、その前に「やってはいけないこと」を押さえておきましょう。
調査を受ける側のNG行動
調査の拒否のほか、妨害や忌避も認められません。調査官の質問に答えない、偽りの答弁をする、嘘の記載や記録のある帳簿書類を提出する、といった行為も同様です。これらを行うと、国税通則法第128条により「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科される可能性があります(質問検査権に対する不答弁・虚偽答弁・検査の拒否等)。
なお、2025年6月1日に施行された改正刑法で、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました。古い記事や書籍では「1年以下の懲役」と書かれていることがありますが、現在の条文上の表記は「拘禁刑」です(罰金額に変更はありません)。
調査する側のNG行動
調査する側にも、やってはいけないことがあります。調査官が税務調査を行えるのは質問検査権の範囲内とされており、相手を拘束したり、勝手に差し押さえをしたりすることはできません。また、事業に無関係の私物や自宅については、本人の同意がない限り検査することはできません。
会社に私物を置いていると、調査の流れのなかで目に触れてしまうことも考えられます。事業に関係のないものは自宅に持ち帰っておいたほうが安心です。
主な調査項目と対応のポイント
税務調査で質問される項目は、ある程度決まっています。次のような内容で事前に調査のシミュレーションを行い、必要書類を準備したり、質問に速やかに答えられるようにしたりしておくことが重要です。
会社や事業の概況
会社の経営全般の状況や、日常業務の流れについて質問されます。会社案内や組織図、商品案内などの資料を用意し、具体的に説明できるようにしておきましょう。
売上処理
受注してから売上が計上されるまでの流れについて質問されます。計上のタイミングが曖昧な説明にならないよう注意し、注文書・納品書・請求書が流れに沿って発行され、自社の基準どおりに売上が計上されていることがわかる資料を用意します。
仕入・外注処理
取引日が明確にわかる仕入や外注費に関する書類を準備しておきます。金額に正当性があることを説明できるよう、根拠を明らかにしておくことがポイントです。
現金管理
現金出納帳と、金庫などにある現金残高が一致しているかを確認されます。机やロッカーなどに簿外の現金があると不正な処理を疑われるため、そうしたことがないよう調査当日までにチェックしておきます。
人件費
架空の人件費が計上されていないか、支払い方法はどうなっているか、などが調査されます。社員名簿・タイムカード・源泉徴収簿・給与の振込がわかる通帳などの証拠書類を用意しておきます。
関連会社との取引
関連グループ会社間の取引で売上が操作されていないかが調査されます。契約書や議事録などを用意し、取引や金額の妥当性を説明できるようにしておきます。
その他の経費
交際費や家電製品の購入費など、公私混同が起きやすい項目は重点的に調査されます。目的・金額の妥当性・時期などを明確に答えられるよう、領収書などの証拠書類をそろえておきましょう。
調査項目と準備書類の早見表
当日あわてないために、調査項目ごとに「何を確認されるか」「何を用意しておくか」を整理しておくと安心です。
| 調査項目 | 確認されるポイント | 用意しておく主な書類 |
| 事業の概況 | 経営状況・業務の流れ | 会社案内・組織図・商品案内 |
| 売上処理 | 計上のタイミングと正確性 | 注文書・納品書・請求書・売上帳 |
| 仕入・外注 | 取引日と金額の正当性 | 仕入・外注の請求書・契約書 |
| 現金管理 | 帳簿残高と実残高の一致 | 現金出納帳・金種表 |
| 人件費 | 実在性・支払の事実 | 社員名簿・タイムカード・源泉徴収簿・通帳 |
| その他経費 | 事業との関連性・公私の区分 | 領収書・利用目的のメモ |
場面別・税務調査のよくある疑問(FAQ)
Q. 調査の連絡が電話で来たら、まず何をすればよい?
A. 多くの任意調査は、事前に税務署(または税理士を通じて)から日程調整の連絡があります。慌てて即答せず、顧問税理士がいれば必ず共有し、立ち会いを依頼しましょう。日程は業務の都合に応じて相談できます。
Q. 調査は何年分さかのぼって行われる?
A. 一般的には直近3年分が中心ですが、申告内容に応じて5年分、偽りその他不正の行為(仮装・隠蔽)がある場合は最大7年分まで対象になり得ます。日頃から帳簿と証憑を整理しておくことが最善の備えです。
Q. その場で答えられない質問をされたら?
A. 推測で曖昧に答えると、かえって誤解を招きます。わからないことは「確認してから回答します」と伝え、後日正確に回答すれば問題ありません。無理に取り繕わないことが大切です。
Q. 指摘を受けて修正する場合は?
A. 誤りが見つかった場合は修正申告を行うのが一般的です。内容に納得できないときは、税務署の更正処分を待ち、不服があれば再調査の請求・審査請求といった手続きで争うこともできます。判断に迷う場合は税理士に相談しましょう。