調査の流れ

どのように税務調査が進められるのか大まかな流れについて解説しています。

税務調査のスケジュール

ここでは税務調査に慌てることなく対応するために、一般的な任意調査の流れについて概要をまとめました。

1.事前通知と日程調整

税務調査を行う場合は原則として電話による事前通知があります。指定された日程の都合が悪い場合は変更することが可能です。

飲食店のように現金商売をしている場合は事前連絡無しのケースもありますが、基本は事前に連絡があり日程調整をするところから始まると考えてよいでしょう。

2.事前準備

税務調査の通知がされる際に、日時や場所以外に調査の目的や対象となる税目、課税期間などの説明がありますので、それに従って総勘定元帳や請求書・領収書、預金通帳、契約書など必要と思われる書類を準備します。担当税理士と相談するとよいでしょう。

3.税務調査当日【1日目】

税務調査は通常は2日間かけて行われます。1日目の午前10時に調査官が到着して、身分証明書の提示がありスタートしますが、午前中は業務内容や取引先など会社概況の聞き取り調査、午後から帳簿確認作業が行われます。

4.税務調査当日【2日目】

1日目の調査を引き続き行い、問題点がある場合は口頭で質問や指摘を受けます。また必要な資料が無かった場合は、後日提出を求められます。2日間で資料チェックが終わらない場合は書類等を持ち帰る場合もあります。

5.調査終了

税務調査が修了すると、後日調査官から結果の説明があります。指摘事項が無い場合は申告是認となり終了です。指摘事項がある場合は修正申告を奨められます。

6.修正申告・追加納税

指摘に納得が行けば修正申告書提出、納得が行かない場合は税務署からの更生決定を待ちます。更正の内容に合意する場合は不足分の税額を納めますが、納得しない場合は不服申立てを行います。

以上のように、どのような流れで税務調査が進められるのか知っておくことで準備がしやすくなります。

なお、税務調査に対応する税理士がいる場合は調査に立ち会ってもらい、指摘事項に対する反論・折衝をお願いすることが可能です。

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初めての税務調査、やっておくべきこと、注意すべきことは?

企業経営を行っている経営者の方の中には、税務調査に対して不安を抱いている方も少なくないと思います。

税務調査はその企業や団体が納めるべき税金を適正に納めているかをチェックするために行われるもので、いつ自分の会社が調査対象となるかはわかりません。

明日電話がかかってくる可能性もありますし、逆に10年ほど音沙汰がないこともあり得ます。

企業ごとに税務調査が入る頻度は様々で異なるのですが、調査に入る時期やターゲットはどのようにして決めているのでしょうか。

実際に調査を行う国の機関は税務署であり、ここで具体的な調査対象を選定しています。企業はその特徴ごとに区分けされ、多額の不正経理が怪しまれている企業は継続管理法人、不正に関わっている可能性が高い企業などは循環接触法人などと称されて要チェックとされます。

このようないわゆる怪しい企業に対しては、3年に1度といった比較的高い頻度で調査が行われることが多いです。

また、経営陣が大幅に変わったり事業規模が変化したなど申告内容を明確に確認しなければならない企業は周期対象除外法人となり、こちらは長期的に見ていく必要があるため10年ほど経過してはじめて調査が入るということもあります。

税務署が調査を行うか否かを最終的に判断する際には、企業が行っている税務関係の申告状況を確認することになります。ターゲットになりやすい特徴としえては、まず黒字が続いている企業が挙げられます。税金を正しく納めていない赤字企業に調査を行ったとしても、赤字を出している以上不足している税金を納められずに倒産してしまう可能性もあります。

これでは調査に入った意味が無いため、黒字続きで懐が豊かな企業の方が調査対象に選ばれやすくなります。もちろん、赤字だからと言って必ずしも調査対象にならないというわけではないので、油断は禁物です。

近年急激に売り上げや収益が伸びている企業も、経営者が利益確保のために売り上げの申告漏れなどを意識的に行ってしまうこともあるため、調査対象とされる確率が高まります。この他、非経常的とされる経費が異様に発生しているような企業の場合も、退職金の支払いが多額に上ったり貸し倒れによって経費計上が増加し、純粋な利益が少なく見えているケースもあるためチェックされやすくなります。

他にも様々なポイントがあり、それらに該当している項目が多ければ多いほど、調査対象になる可能性が高いと言えます。

いざ調査が入ると、どんなポイントを調べられるのかも知っておくことが大切です。最初にチェックされるのは、売上計上の金額はもちろん時期に不審な点が無いかという点です。

交際費や在庫、売上の計上ミスもよく見られるので入念に調べられますし、実際には働いていない架空の人件費を計上していないかも注意する必要があります。

税務関係は素人には分かり辛いこともあるため、故意に不正を働いたとあらぬ疑いをかけられないためにも適正な処理をしていくことが重要となります。

そのためにも税務処理は企業内の担当者だけで行うのではなく、経験豊富な税理士などの専門家に依頼して普段から間違いがないかチェックしてもらうようにしましょう。

税務調査対策として最も大切なことは、課税対象となる内容について法律に基づいた正確な知識を持っておくことです。正確な知識と正しい証拠を揃えて置けば、その税務処理に不審な点がなく正当なものであると証明することができます。

例えば、取引先と食事をしたのであれば領収書に相手の企業名や氏名などをメモ書きしておいたり、無くさないようにしっかり保管しておくなどの心がけが欠かせません。正当な証拠があれば調査担当者から疑いの目や不当な追徴課税を課せられる心配も無いので、企業内でこういったことに対する意識を周知徹底させるようにしましょう。

知っておきたい無予告調査の要件と対処のポイント7つ【東京】

無予告調査の対象となる要件

通常、税務調査は事前に通知があり、予定された日時に行われますが、通知をせずにいきなり調査に入ることが許されているケースがあります。

これが「無予告調査」です。 突然アポなしで税務調査に来られてしまうので、何の準備もできていない経営者はかなり慌ててしまいます。

一般的に、無予告調査は現金での商売をしている個人事業主などが対象となることが多いようですが、必ずしもそうとは限らず企業にも無予告調査が入る可能性はあります。

以前は、対象となる理由がわからないような企業にも無予告調査が入っていましたが、現在は無予告調査の要件が法定化され、悪いことをしている疑いがかなり濃い企業でないかぎり、むやみに行うことは禁止されました。 無予告調査の要件は明確に定められていて、国税通則法第7の10にその旨が記載されています。

内容についてはインターネット上で全文を確認することができますので、お時間のあるときに見ておくとよいでしょう。

無予告調査は要件を満たしているのか?

無予告調査の要件となる国税通則法第7の10は、通達に記載があります。

大きく4つに分けられ、さらに細かく分かれていますが、この内容をしっかり読み込み、自分のところに無予告調査が入ったのは、この要件のどの部分に当たっているからなのかをまず確認してください。 確認し、その要件に当てはまらないと証明できれば、無予告調査を続行することはできません。

無予告調査が中断された例はあるの?

調査官が要件を正しく理解していなかったために、本来の無予告調査が行われなかったという事例が実際にあるそうです。

個人事業主の商店に調査官が突然訪れ、通達を元に無予告調査を行う旨の説明をしました。要件に当てはまらないと感じた個人事業主は、要件のどこに自分が当てはまるのかを聞いたところ「現金商売だから」という回答だったそうです。

国税通則法第7の10の要件として、現金商売をしている個人事業主が対象になるとは書かれていないので、そのように説明をしたところ、最終的に調査官が望む税務調査は行えなかったそうです。

こうした事例もありますので、必ず要件の内容と何に当てはまるため調査に来たのかを確認するようにしてください。

無予告調査に冷静に対処するポイント7つ

経営者と税理士は予め無予告調査に関して打ち合わせておく

税金に関してクリアな状態にしておくのが一番だとはわかっていても、帳簿計算などはいろいろな事情でクリアにしておくことが難しい場合もあると思います。もしもの時のことを考えて、経営者と税理士は無予告調査が入った際の対応についてしっかり打ち合わせをしておきましょう。

税理士とやり取りをする中で、無予告調査についてのアドバイスがない場合は、自分から「もし無予告調査が入ったらどのように対応するべきか」ということを質問し、対処法を聞いておいてください。

何を言われてもすぐに税理士に連絡を!

調査官が訪れたら、まず要件を確認します。税務調査に来たということが確認できたら、すぐに税理士に連絡をしましょう。

調査官によっては税理士への連絡をさせないようにうながすことがありますが、「税務代理権限証書」を提出している企業であれば、税理士は税務調査に立ち会うことができる権利を持っています。何を言われても、すぐに税理士に連絡を入れましょう。

可能であれば、突然調査官が訪れても税理士が来るまでは社内に通さないことが望ましいです。 調査官はあの手この手で調査を進めようとしてくるでしょうから、対処に慣れていない経営者だと逆効果の行動をとってしまわないとも限りません。

「税理士が来るまでお待ちください」と毅然とした態度を取れるのが理想です。

「今までは大丈夫だった」という言葉は禁句

税務調査でよくあることなのですが、前回の調査では指摘されなかったことが、今回指摘されたというときに、「今まではこれで何も言われなかった」と言いたくなってしまうことがあると思います。しかしこれは絶対に発してはならない言葉。これを言ってしまうと、さらに古い税務記録までさかのぼって修正させられてしまうことになりかねません。

「本来は5年の修正でと思っていたけれど、10年分を修正してください」と言われてしまったら、こちらの手間が増えるだけです。

帳簿のコピーや貸与を求められたら

これまでは調査官が帳簿のコピーを求めたり、持ち帰りでの貸与を求めることは法律で許可されていなかったのですが、今は資料のコピーや貸与に関して必要があれば行ってもよいと法律で決められています。このため、求められたら従わなければなりません。

ただコピーについては差し出すことになりますが、貸与については任意になるものの、明確に「何日以内に返却しなければいけない」と法律で決められているわけではないのが問題です。この点においては調査官の権限が広くなったということが言えます。

資料の貸与を求められたときは、コピーをとってから貸し出すなどの対処をすることをおすすめします。

無予告調査は断れないが、リスケは可能

無予告調査は法律上拒否することができないと決められています。さらに行われた税務調査において黙秘をしたり、嘘の発言をしたり、偽の資料を提出すると罰則を受ける可能性もありますので、やめましょう。しかし、平日に突然調査官に押しかけられても、仕事上の大切な打ち合わせや用事がある場合だってありますよね。

税務調査を断ることはできませんが「今はどうしても調査に立ち会えないので別の日にしてほしい」とリスケすることは可能です。

参考:国税庁の税務調査に関するFAQ(一般納税者向け)https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm#a03

調査内容は時系列で細かく記録

無予告調査に関しては、トラブルに発展してしまったケースも中にはあります。調査官は法の範囲で調査を行うのが基本ですが、半ば強引に調査を進め、調査官があらゆるところをひっくり返したことが原因で裁判になった事例も。

調査内容は細かく時系列で記録しておき、トラブルが発生した際に速やかに正しい対処ができるようにしておきましょう。

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