重加算税とは?税率35〜50%の仕組みと課されないための対策

税理士と帳簿を確認して税務調査に備えるイメージ

税務調査で課される加算税のなかで、もっとも重いのが重加算税です。この記事では、重加算税が課されるケース・税率の計算方法・課されないための対策を、税務調査の現場を知る専門家の視点で整理します。数値は国税庁・財務省の資料で確認した最新のものです。

重加算税とは?なぜ「最も怖い」のか

重加算税は、事実の「仮装」や「隠ぺい」があると判断された場合に、ほかの加算税(過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税)に代えて課される、もっとも重いペナルティです。税率が高いだけでなく、その後しばらく税務調査の対象としてマークされやすくなるなど、事業への影響も小さくありません。

重加算税の疑いがあると、税務調査では売上・在庫・領収書が一つひとつ細かく確認されます。意図的に税を免れていた場合、重加算税を避けることはできません。

「仮装」「隠ぺい」とは

重加算税の対象になるのは、所得税・法人税・消費税などについて「仮装」「隠ぺい」が確認された場合です。

  • 隠ぺい:本来計上すべき売上や在庫などを隠すこと。
  • 仮装:請求書の数字を書き換える、ありもしない取引をねつ造するなど、事実を装うこと。

注意したいのは、意図しない経理ミスでも「仮装」「隠ぺい」を疑われることがある点です。入力ミスや申告漏れが故意でないことを税務調査で説明・証明できなければ、不正とみなされてしまうおそれがあります。行き過ぎた節税も、調査で徹底的に確認されます。

加算税の種類と税率(最新)

税務調査で課される加算税は主に4種類です。重加算税はそのなかで突出して重くなっています。

加算税の種類税率の目安課されるケース
過少申告加算税10%(一部15%)期限内に申告したが、税額が本来より少なかった
無申告加算税15〜30%
(自主申告は5%)
期限内に申告しなかった
不納付加算税10%(自主的なら5%)源泉徴収した所得税を期限までに納めなかった
重加算税35〜40%
(繰り返しは+10%)
仮装・隠ぺいがあった(最も重い)

過少申告加算税は、追加で納める税額の10%(期限内に申告した税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)。税務調査の事前通知の前に自主的に修正申告すれば、原則として課されません。

無申告加算税は、納める税額のうち50万円以下の部分が15%、50万円超300万円以下が20%、300万円を超える部分は30%です(300万円超30%は令和6年〔2024年〕1月1日以後に申告期限が到来する分から)。事前通知前に自主的に期限後申告すれば5%まで軽減されます。さらに、前年・前々年に無申告加算税などを課された人が再び無申告だった場合は10%が加算される厳格化もされています。

不納付加算税は、源泉所得税の納付が遅れた場合に課され、原則10%(自主的に納付した場合は5%)です。

重加算税の税率と計算方法

重加算税は、どの加算税に代えて課されるかで税率が変わります。

ケース重加算税の税率過去5年以内に無申告加算税・重加算税ありの場合
過少申告(期限内に申告あり)に代えて35%45%
無申告(期限後・無申告)に代えて40%50%

つまり、期限内に申告していた場合は不足税額の35%、無申告だった場合は40%。さらに過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、それぞれ+10%(45%・50%)に重くなります。

また、電子帳簿保存法の対象となるスキャナ保存された書類のデータや電子取引の取引データを改ざん・隠ぺいして申告漏れがあった場合にも、重加算税が10%加重されます(令和4年〔2022年〕1月以降)。請求書PDFの改ざんや電子データの意図的な削除は、紙の書類の場合より重いペナルティにつながり得るということです。

これに加えて延滞税も必要です。延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じてかかり、納付が遅れるほど膨らみます(延滞税の割合は年ごとに見直されます)。不正な方法で税を免れていた場合は最大7年さかのぼって課税されるため、本税+重加算税+延滞税の合計は非常に大きな金額になりがちです。

どれくらいの企業が課されている?調査のさかのぼり

国税庁が公表した令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の法人税等の調査事績によると、法人への実地調査は約5万4千件行われ、そのうち約1万3千件で仮装・隠ぺいなどの不正計算が見つかりました。不正発見割合は23.5%で、調査を受けた法人のおよそ4件に1件の計算です。実地調査による追徴税額(法人税・消費税)の総額は3,407億円と、直近10年で最高になりました。国税庁はAIを活用して調査必要度の高い法人を抽出しており、決して他人事ではありません。

個人の税でも同様で、たとえば相続税では、令和6事務年度の実地調査で申告漏れ等が見つかった7,826件のうち1,065件(13.6%)に重加算税が課されています。

税務調査は通常、過去3年分を確認します。大きな誤りが見つかれば過去5年分へ、さらに仮装・隠ぺいなど不正の疑いがあれば過去7年分までさかのぼって調査されます。7年分の税金に重加算税と延滞税が重なれば、数百万〜数千万円規模の負担になることもあります。いったん重加算税を課されると税務署からの信用も下がり、その後の調査対象になりやすくなります。

重加算税の対象にならないミスもある

すべての誤りが重加算税になるわけではありません。たとえば、売上や経費を実際と異なる日付で計上してしまった(期ずれ)、経費にならない費用を計上してしまったといった単純なミスは、仮装・隠ぺいではないため重加算税の対象にはなりません(修正申告は必要です)。重加算税は、あくまで「故意に事実を仮装・隠ぺいした」場合に課されるものです。

重加算税を課されないための対策

最大の対策は、当然ながら仮装・隠ぺいをしないことです。ただし、実際には不正の意図がなくても疑われてしまうことがあります。たとえば請求書を誤って二度入力(二重計上)したまま申告すると、それが故意と判断されれば重加算税の対象になりかねません。

高性能な会計ソフトを使っても、人為的な二重計上は完全には防げません。伝票に管理番号を付ける、入力・確認のルールを整えるなど、経理体制を見直すことでミスは大きく減らせます。日々の記帳と証憑(領収書・請求書)の保存を徹底しておくことが、いざというときに「故意ではない」と説明する材料になります。電子データで受け取った請求書・領収書は、電子帳簿保存法のルールに沿ってそのまま保存し、後から編集・削除した形跡を残さないことも大切です。

税務調査の対象になった場合は、事前に税理士と打ち合わせをして入念に準備することが大切です。調査官の質問にあいまいに答えてしまうと、不利に働くことがあります。あやふやな知識で対応せず、税務調査に強い税理士に任せると安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. ミスをしたらすぐ重加算税ですか?
A. いいえ。仮装・隠ぺいがなければ重加算税の対象にはならず、過少申告加算税や無申告加算税で済みます。単純な期ずれや計上誤りは修正申告で対応します。

Q. 調査の前に自分で気づいたら?
A. 事前通知の前に自主的に修正申告・期限後申告をすれば、加算税が軽減または不課税になることがあります。気づいたら早めに対応しましょう。

Q. 重加算税は経費(損金)になりますか?
A. なりません。重加算税・延滞税などのペナルティは損金に算入できず、法人税の計算上は差し引けません。

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