税務調査対策

個人事業主にも調査は入る?

個人事業主でも対象となることは十分あります。

 

「個人事業主だから税務調査が入ることはないだろう」と考えていませんか?実は、個人事業主だからといって税務調査が入らないとは限りません。ここでは、個人事業主に対する税務調査の実態と調査が入る基準、対策についてご紹介します。

 

法人と個人に「税務調査が入る割合」は?

法人や会社企業であろうと、個人事業主であろうと、税務調査を全く受けないということはありません。では、その割合はどれくらいなのかを具体的に見てみましょう。

総務省統計局の平成26年経済センサス‐基礎調査によると、26年度には、4,098,284の経営組織があり、このうちの会社企業の数は1,750,071で42.7%、個人経営をしている事業主の数は2,089,716で51%を占めています。そして、残りの6.3%は会社以外の法人で258,497となっています。

また、国税庁の平成26事務年度 所得税及び消費税調査等の状況を見てみると、所得に関しての実地調査を行われている個人事業主の合計は67,774となっています。これは平成26年7月から平成27年6月の間のデータを参考にしています。また、法人税の実施調査件数は95,000件ほどあり、約68,000件が所得税と消費税の実施調査を受けているようです。

2つのデータから個人経営をしている事業主に注目してみると、2,089,716の個人事業主のうち67,774件が調査対象となっているということがわかります。つまり、約3%の事業主が税務調査の対象になっているようです。3%というこの値を見て少ないと思う方もいるかもしれませんが、ゼロでは無い限り、調査対象になる可能性はあると言えます。また、あくまでも確率の話なので、事業の内容や、会社の大きさなどによっても調査を受けやすいかどうかということに違いが現れてきます。調査の対象になりやすい職種というものもありますし、規模もあります。

必ず受けないということはないので、自分の所は大丈夫だろうと安易に考えることはせず、もしもの時に不安の無いように、常にしっかりとした申告をしておくことをしておきましょう。そうすれば、実際に税務調査されたとしても困ることはありません。

 

売上が1,000万円を超えると調査される?

個人事業主は、売上が年間1,000万円以上だと税務調査を受けることが多いと言われています。この根拠は1,000万円以上になると消費税が課されるためと言われていますが、これはあくまで噂であり、確実にそうであると断定はできません。

確かに、売上が1,000万円を超えた場合は初年度(=超えた年)に消費税の申告漏れが多くなる傾向があるそうです。だからといって、1,000万未満ならば税務調査が行われないとは限りません。

税務署では、国税総合管理システムによって国税局と事務所が持っているデータを一元管理しています。そこで個人の確定申告の内容とデータベースを突き合わせて、分析を行います。その際、たとえ売上が低くても不自然な申告をしていると税務調査の対象になることがあるようです。

 

個人事業主の追徴税額は?

税務調査が入り指摘を受けた所得金額や消費税、追徴税額について過去の統計をご紹介します。

個人事業主と資本金1億円以上の法人、1億円以下の法人で分けて表にしてみました。

税務調査が入り指摘を受ける割合は個人事業主が約80%、法人は約75%となっています。

1件当たりの追徴税額が高額で、調査が入ると指摘を受ける確率がかなり高いことが分かります。

法人全体 法人
(資本金1億円以上)
法人
(資本金1億円以下)
個人事業主
調査件数 95,000件 2,650件 92,350件 67,770件
指摘を受けた
所得金額
8,235億円 3,340億円 4,895億円 5,008億円
所得税
追徴税額
1,710億円 630億円 1080億円 740億円
申告漏れ
所得金額
(1件あたり)
8,665万円 1億2,500万円 530万円 740万円
所得税
追徴税額
(1件あたり)
180万円 2,380万円 115万円 110万円
消費税
実地調査件数
91,000件 2,920件 88,080件 35,930件
消費税
追徴税額
452億円 123億円 329億円 186億円
消費税
追徴税額
(1件あたり)
50万円 420万円 37万円 52万円
調査1件あたりの
追徴税額合計
228万円 2,800万円 153万円 162万円

税務調査が個人事業主に入りやすい時期とは?

税務調査は明確に「この時期に行う」という指標はありません。しかし、実際は税務署内部の動きにより増減がある様です。

2月~3月】 可能性(小)

個人事業主の確定申告があり税務署内部も多忙の為、税務調査はほとんど行われません。

5月~6月】可能性(小)

3月を会計年度末にしている企業が多く56月は税務署内部も決算処理が極めて多忙の為、税務調査はほとんど行われません。

【  7月 】可能性(小)

税務署では6月に年度末を迎え、7月に人事異動が行われます。新体制の整備や準備のために税務調査はほとんど行われません。

8月~11月】可能性(大)

新年度になってお盆休みも終わり、業務が落ち着く8月末くらいから徐々に税務調査が始まり、9月から年末に向かう11月頃までがピークとなります。会計に不安がある場合は特に、秋口までに整理をしておきましょう。

 

税務調査を受けやすい個人事業主の特徴

税務調査は、正しい税務処理をしたうえで正確な申告を行い、きちんと納税しているかを調べるものです。税務調査のターゲットになる個人事業主の傾向は、法人の場合とさほど変わりないようです。正しく申告していれば心配する必要はないため、びくびくするような場合は何か自分で思い当たる点があるときと言えます。

売上の急速な伸びや下降は注意が必要

目を付けられるポイントは、売上や利益の急な伸び、または下降です。前年度と比べて著しく業績が変化した時などには、税務調査が入ることがあります。また税務署はデータベースにより、業績が伸びていても所得金額が極端に少ない、預金・在庫が少ないといった不自然な部分をチェックします。

節税対策もやりすぎると危険

事業者なら、事業が軌道に乗り始めてまず行うのが節税でしょう。節税自体は悪いことではありませんが、あまりにもやりすぎると脱税と見なされることもあります。隠蔽だと疑われたり、悪質と判断されると追徴課税だけでなく、重加算税も追加されてしまいます。そうなると、本来支払う必要がない税金も納めなくてはなりません。

また、一旦不正だと判断されてしまうとその後も税務調査の対象になりやすくなります。税金逃れを考えるのではなく、納めるべき税金を支払った上で合法的な節税の仕方を考えることが大切です。

事業が軌道に乗っている

利益を出している個人事業主は税務調査の対象となるケースが多いようです。事業が軌道に乗り、5年ほど経ったときに税務調査が入りやすいと言われています。税務調査では5年前までさかのぼって調査するのが可能だからです。売上の規模が大きくなるにつれて税務調査の対象になりやすいと言われています。しかも赤字の事業であっても調査対象になる可能性はあるものです。赤字でも消費税や源泉所得税は掛かりますし、不正計算で赤字になっているケースも考えられます。

確定申告の数字が不自然

税務署には過去の確定申告記録が残されています。あらゆる業種において利益率や経費などのデータが揃っているのです。一元管理されているそれらのデータと確定申告の数字をコンピュータで自動的に照らし合わせます。さらに確定申告書のデータだけでなく、金融機関からの情報や法務省から不動産の登記情報を得てデータを分析。不自然な数字が出ていると調査対象の候補として選ばれ、さらに詳しい調査が進められます。

業績だけが伸び、現金預金や在庫などのストックが少ない

業績が伸びると預金か在庫量が増えるのが普通です。税務署では過去のデータと照らし合わせて所得と在庫量、預金のバランスをしっかりチェックしています。売上が伸びれば経営者は納税額を抑えたいと思うようになりますし、調査により在庫漏れが発覚するケースもたくさんあるようです。

所得金額が異様に少ない

所得金額が少なすぎる、または無いにもかかわらず事業を続けている場合には調査対象になる可能性があります。確定申告書にも所得別の収入金額を記入する欄があるので、それを参考に調査対象を選出するのです。所得があまりに少なすぎ、生活できないような金額であれば通常、事業を続けられません。

確定申告書の記載が間違っていることも考えられます。税理士が付いていない個人事業主は税務署の調査が入りやすいとも言われていますが、個人事業主が自分で申告書を提出している場合、申告書の記載方法が間違っているケースも考えられます。その場合、税務署も内容を確認するために調査に入らざるを得ないのです。

業績が急激に変化した

業績が急激に伸びたり落ち込み方が激しく違和感があったりする場合には当然、調査対象となる確率が上がります。過去のデータと照合し、金額が大きく変化していると調査対象になりやすいでしょう。過去5年のデータと比べ、異常な数値が出ているようだと狙われやすくなります。

粗利が急激に変化している場合にも調査対象に。普段発生していない大きな経費が使われていないかがチェックされます。

 

日ごろから気をつけておくべきこと

脱税志向は持たない

脱税は犯罪であり、悪質なケースは「重加算税」の追徴課税を受けることになります。高額な税金を追加で払わなければならないのです。売上や仕入れ、経費を偽って計上していた場合に重加算税の対象となります。次回以降の税務調査でも対象になる可能性が高くなるでしょう。脱税は発覚したときのリスクを考えると絶対に避けるべきです。脱税志向を持たないことが事業を円滑に行なうための秘訣と言えます。

預金口座は公私で分ける

個人事業専用の口座とプライベートの預金口座を用意して、しっかり区別して使いましょう。プライベート用の口座を利用して所得を隠そうとしても、税務署では個人や関係者の口座をすべて把握しています。口座を分けることにより入出金が分かりやすくなり、経理処理も効率化できます。

領収書は必ず整理して保存

青色申告の個人事業主であれば領収書の保存期間は7年間です。保管してある領収書は事業内容によって経費として認められるものかどうか、しっかり把握しておく必要があります。交際費や旅費交通費、消耗品費などプライベートと分別がつき難いものはとくに注意が必要です。調査が入ったときにすぐに説明できるようにしておきましょう。

 

個人事業主は必見!税務調査の失敗・成功のケース

税務調査の失敗ケース

日ごろからの管理

  • 記帳について法改正に対応していなかった
  • 税理士から調査で必要な書類の説明がない
  • 普段から税理士が上から目線、態度が悪い
  • 税理士が専門用語ばかりで説明してくる

税務調査の通知後の事前準備

  • 税理士と事前打ち合わせをせず当日を迎える
  • 税務調査当日の流れがよく分からない
  • 税理士の進め方が税務署寄りの対応

税務調査の本番で

  • 不安を抱えたまま当日を迎える
  • 調査官による質問の意図が分からない
  • 税理士が調査官の言いなりで何も反論しない
  • 調査官の作成した文書に署名、捺印した

結果は…

  • 税理士が調査官と交渉せず、加算税が高額に
  • 税理士の態度が悪く、調査が長引いた
  • 意図的な脱税ではないのに重加算税が加算
  • 調査官の質問に税理士が何も答えられない

税務調査の成功ケース

日ごろからの管理

  • 税務調査を前提とした記帳方法へ変更
  • 税理士が調査で指摘されやすい点を指導
  • 税理士から同業種の傾向をアドバイス
  • 税理士が帳簿や必要書類を事前にチェック

税務調査の通知後の事前準備

  • 事前に税理士と何度も打ち合わせ
  • 税理士が事前に資料を確認し指摘項目を予測
  • 事前に法的根拠に基づいた対策をとっていた
  • 事前に調査当日のシミュレーションを行なった

税務調査の本番で

  • 指摘に対し法的根拠を示しながら調査官へ説明
  • 税理士が租税裁判の判例を出しながら交渉
  • 必要書類が準備できているので調査が短時間

結果は

  • 調査官に対して主張をしっかり通してくれた
  • 対応が早く、予定より早く調査が終了
  • 税理士に任せっきりで何事もなく調査を終えた
  • 今後の対策を考えレポートを提出してくれた

個人事業主が取るべき対処法とは

税務調査委が入ることを前提に、個人事業主がやらなければならないのは帳簿を付けることです。そのためのポイントを何点かご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

①青色申告と白色申告

知識がないので帳簿を付けない、無申告をしていたという個人事業主がたまにいます。確定申告には青色と白色があり、従来は白色では所得が300万円を下回るときに限って帳簿をつける義務が免除されていました。しかし、2014年1月からは記帳と記録を保存しておかなければならないようになりました。青色は複式簿記、白色は単式簿記という違いがありますが、個人事業主は帳簿付けが必須なので忘れないようにしましょう。

②預金通帳は個人と事業を分けておく

記帳する際には、個人用と事業用を分けておきましょう。預金口座を分けないと、個人の口座に報酬を振り込んでもらい所得隠しをしたと見なされることもあります。

③書類はしっかり管理し保管しましょう

注文書、請求書、領収書などの証拠書類はしっかり管理・保存しておきましょう。数年は保管義務があります。

④光熱費にも要注意

仕事場と自宅を兼ねている場合は、家賃と光熱費は100%経費として計上することはできません。このようなときは、使用割合を「按分」して正確に経費を割り出します。

⑤その他

個人事業主の中には届けを出さないばかりか、そもそも自分が個人事業主だという意識を持たない人もいるのが事実です。例えばネットオークションで一時的に不用品を処分しているだけなら良いのですが、せどりのように継続的な売買を行って一定の利益がある場合は事業として見なされます。自分では個人事業だと考えていない場合、帳簿も付けておらず、確定申告も行っていないため、無申告扱いになり追徴課税が課されてしまいます。こんな場合に後で泣きを見ないためには、一度税理士に相談してみると良いでしょう。いい加減な会計処理をして後から税務調査が入ることを恐れるくらいなら、初めから税理士に依頼した方が得策でしょう。

 

税務調査が決まったときの対策

既に調査が決まっている場合に今から行える対策は、以下の3点です。

①必要資料の準備

調査を行うという連絡が来てから実際に行われるまでには、数日~数週間程度間が空きます。連絡があったからと言っていきなり問答無用で来るわけではありません。その間に必要資料を用意して見直しておきましょう。市販品でも準備すべきことをまとめた書籍があるので、購入して準備を整えておきましょう。

②あらかじめ自分で間違いを探し、修正する

税務調査においては、税務署からの指摘の前に自ら間違いを見つけ出し、修正申告を行う必要があります。これは、税務署側に指摘されると過少申告加算税という罰金が待っているためです。さらに悪質だと見なされると、重加算税35%という重い罰金が課されることもあります。

③税理士事務所に依頼する

税務調査の査察官はいわば脱税を見つけるプロです。見つからなければ大丈夫と甘く考えると本当に痛い目をみるので、全部発見されると思って準備を進めておくことが重要です。税の知識がなく、査察官と渡り合える交渉力がないといった場合は無理せずに税務のプロの税理士に依頼するのが最善と言えるでしょう。

>>個人事業主を救う!税務調査に強いおすすめ税理士事務所3選

税務調査官とはどのような人?

こちらのページでは、税務調査官とはどのような人なのか、税務調査でどのような点を確認しているのかについてご紹介します。

税務調査官という職業について

税務調査官とは、国税局や税務署に勤務している調査官のことで、税務調査を行うべく、専門性の高い教育を受けてきた人々のことです。立場的には国家公務員となり、税務調査官になるためには、次の2つの方法があります。

  • 中卒者・高卒者を対象とした「税務職員採用試験」で合格する
  • 30歳までの大卒者を対象とした「国税専門官採用試験」で合格する

この採用試験で合格すれば、税務調査官としての道が拓かれますが、この段階で税務に関する知識に造詣が深い人はごく少数です。そのため、試験に合格した後は、国税庁が管轄する「税務大学校」で教育を受けることになります。

税務大学校での研修について

税務職員採用試験で合格した人は、全寮制の宿舎で生活し、1年間にわたる研修を開始。

研修期間が終了した後に税務署内の事務で仕事に慣れ、再び税務大学校で3か月間の研修を受けた後、更に専門の税目に対する学習を行います。

国税専門官試験で合格した人は、3ヵ月間税務大学校で研修を受けた後、税務署で勤務し、1年後に税務大学校で1ヵ月間にわたる研修を行います。その後、2年間現場での経験を積み、更に7か月間の研修を受けると言う流れです。

税務調査官に「ノルマ」は課せられるのか

税務調査を行うとなると、回収する税金の金額にノルマがあるのではないか、と考える方もいるでしょう。確かに、税務調査官には「ノルマ」と「営業成績の評価基準」が存在します。

ノルマとしての調査件数

税務調査官のノルマである調査件数は、1年間で勤務する日数によって決まります。

調査件数をクリアしなくても、特にペナルティなどは存在しませんが、税務調査官としての評価に関わってくることなので、調査件数をクリアするということは最も大切な部分になります。

営業成績としての増差

ノルマである調査件数に加えて、税務調査官の評価に関わってくる点が「増差」というものです。増差とは、申告されている分よりも多く集めた税金のことで、要は回収額のこと。ノルマである調査件数をこなした上で、できるだけ多くの増差を集めてくるということが、税務調査官の評価に繋がります。

税務調査官がチェックするポイントとは?

税務調査官が税務調査を行う上で、チェックするべきポイントを知っておきましょう。

これを知っておけば、税務調査をされたときの対処もスムーズになります。

現場に向かう前の調査準備

まず、税務調査官は実際に調査に向かう前に、統括官から該当法人の資料を受け取ります。その時に、なぜこの法人が調査対象となったのか、という理由なども一緒に知らされるでしょう。税務調査官はその資料を見て、どこを重点的に調査するべきか計画を立て、準備ができた状態で現場にやってきます。

臨場調査でのポイント

臨場調査は、実際に納税者と対面しながら調査を行いますが、ここで確認しているのは「企業内の様子と経理の関係性」についてです。現場である企業内の設備などに変更があった場合、そのことをどのように経理に反映させているか、ということを確認してきます。

その時の説明と資料に食い違いはないかといった点が調査のポイントです。

現物確認でのポイント

現物確認は金庫内の確認です。金庫内に入っている預金通帳などを確認し、簿外預金がないか確認を行います。ここで、帳簿に記録されていない通帳などが見つかった場合、更に深い調査が入ることに。同族会社であれば、特に入念に調査されるのがこの部分です。

適用されると損をする?税務調査の推計課税とは?

推計課税について

税務調査が行われたときに起こり得る、恐ろしい推計課税について解説します。推計課税の計算のされ方や推計課税を適用されないようにする方法も紹介します。

推計課税とは?

推計課税とは税務調査のときに例外的に用いられるものです。税務調査が行われたときに、故意か過失にかかわらず帳簿書類が紛失してしまっていることがあります。本来、税務調査ではこうした帳簿書類を使って調べていきます。ところが、帳簿書類を紛失しているとそのように調べることはできません。

だからといって、売上や所得を計算できないので課税しないということは、納税者間の公平性に欠けるのでできません。

そこで、所得や売上、経費がわからないときに、近隣で同規模の事業を行っている会社の仕入金額と収入金額の比率などを参考にします。そのようにして間接的に所得や売上を推計して課税するのが推計課税です。このことは国税庁の「推計課税訴訟における民訴法第312条の文書提出義務について」にも記されています。

【参考】

計算方法は「比率法」「効率法」「消費高法」「純資産増減法」の4つです。比率法(同業者比率法)は、先に近隣の同じ業態の同規模事業者の所得や売上を参考にして、一定の比率を適用して算出します。

効率法は材料や経費、あるいは売上単価から税金額を推計します。さらに、その年の純資産の増加額で推計する方法を純資産増減法といいます。また、毎日の消費支出をもとに推計する方法を消費高法といいます。

様々な推計方法がとられますが、いずれにしても推計課税は恐ろしいです。というのは、実際に納税しなければいけない額よりも多くなることが多いからです。例えば、本当は200万円しか所得がないのにもかかわらず、近隣の同規模事業者から推計された売上が500万円だとすると、200万円の収入で500万円分の税金を支払う必要があるのです。

【参考】

適用されるのはいつ?

推計課税が適用されるのは税務調査を拒否するときです。税務調査に対して非協力的な態度を示すと、実学の計算ができないと税務署に判断され、推計課税が適用されます。

さらに、税務調査を受けたとしても、帳簿書類の信憑性が疑わしいと判断されたときには、推計課税が適用されます。

また、帳簿書類が故意か過失かにかかわらず、紛失しているときにも適用されるでしょう。

推計課税を防ぐには?

推計課税が適用されないようにするためには帳簿書類をきちんと取ることです。さらに、帳簿書類が紛失しないように注意したいです。領収書やレシートもしっかりと保管しておきましょう。

経営規模が大きくなるにつれて、帳簿書類の紛失を防いで、推計課税が適用されないようにすることは難しくなります。やはり税理士に頼むのが安心です。こちらのサイトでは税務調査に強い税理士事務所を紹介していますのでチェックしてみてください。

ネット収入専門の税務調査官もいます!

ネットを使ったビジネスは匿名性も高く、会社員の方なども副収入の一環として気軽に参加している方も多いようです。

そこで気になるのがネットビジネスの確定申告についてです。最近ではネット収入専門の税務調査官、情報技術専門官が個人のネットビジネスの脱税行為も厳しく監視しているといいます。

ネット収入専門の税務調査官、情報技術専門官はどのような業務を行っているのか、ネットビジネスをしている人はどのように確定申告をすればいいのか、ご紹介します。

ネット収入専門の税務調査官、情報技術専門官とは

情報技術専門官とは、IT分野の研修を重点的に受講した、ネット収入専門の調査官のことです。

かつて税務署はIT関連に弱いとされていましたが、近年はIT関連やネットビジネスに対応できるよう、情報技術専門官が税務署に配属されさまざまな税務調査にあたっています。

情報技術専門官の業務の特徴

情報技術専門官はITやネットなどに通じた税務調査官です。アフィリエイトやネットオークション、ネット販売を中心に税務調査をしています。

もともとIT関連の知識や技術が豊富なうえ、日々ネットビジネスを中心に税務調査をしているので、その知識や見識はかなりのものがあります。

情報技術専門官が注意するポイント

国税庁では現在、電子商取引監視チームというものを配置し、ネット上の取引を常時監視しています。

例えばネットビジネスを行った場合はオンライン上に取引記録がすべて残りますが、税務調査の際にこうした記録、1円単位での売り上げ記録までを把握するといわれます。税務調査の際にはデータの削除履歴や作成日付などを中心に調べていきます。

また会計データの不正や誤入力、パソコン内の日常の記録やメールなど、関係するものは全て確認し、不正がないか確認します。

情報技術専門官が税務調査に同行した時の注意点

一番重要なのは税務調査があるからといって、これまでの履歴を改ざんしたり、データの削除を決してしないことです。

これらの行為を慌てて行っても現在ではすべての履歴やデータは元通りにできるといいます。履歴の改ざんやデータの削除は場合によっては犯罪に問われることもあるので、税務調査の際はできる限り協力的に対応することです。

ただ、パソコン内には個人情報も入っており、税務調査官に見せる必要はないとの考え方もあるので、税務調査がある際は税理士に早急に相談することもおすすめします。

個人でネットビジネスをしている方の確定申告

アフィリエイトやオークションなどのネットビジネスの税金に関して問題が起きやすいのは、年間の売り上げが少ないケースが多いことです。普段仕事に就きながら副業として小遣い稼ぎでネットビジネスをしている人が多いので、納税意識が低くなってしまいがちです。

そこでここでは税務調査に入られないよう、個人でネットビジネスをしている方の確定申告についても説明をします。

確定申告が必要な人

アフィリエイトやネットオークションなどネットビジネスでお金を稼いだ場合、税金の申告は確定申告で行います。確定申告は全ての人に必要なのではなく、ある一定以上の所得があった人が確定申告をします。

具体的には会社員などで副業としてネットビジネスをしておりネットビジネスの年間所得が20万円以上の方、または主婦や学生、無職の方でネットビジネスでの所得が38万円以上の方は所得税が発生するので、確定申告をする必要があります。それ以下の所得の方は確定申告の必要はありません。

なお、所得とは1年間の収入から経費などを差し引いた金額になります。

ネットビジネスで確定申告が必要になる人

  • サラリーマン等:年間20万円以上の副収入で所得税発生
  • 主婦・学生・無職等:年間38万円以上の副収入で所得税発生

また確定申告には白色申告と青色申告があります。副業レベルでネットビジネスの収入が少ない方は手間がかからない白色申告がおすすめです。

しかしネットビジネスだけで生計を立てているなど、一定以上の収入がある方は青色申告をすべきです。複式簿記で記帳に手間がかかりますが、65万円の特別控除がありますので断然おすすめです。なおネットビジネスの年収が1,000万円を超えた方には法人化をおすすめします。

ネットビジネスの経費について

個人でネットビジネスをしている場合はパソコンとデスクがあれば基本的にビジネスができるので、必然的に利益率は高くなります。しかし経費として認められるものもたくさんありますので、極力節税するためにも経費に関しても理解しておいてください。

個人でネットビジネスをしている際の経費としては

  • パソコン代
  • 通信費
  • 電気代
  • レンタルサーバー代金
  • 情報商材
  • 書籍代
  • 郵送代
  • 交通費
  • 家賃
  • その他ネットビジネスに費やした費用全般

などが考えられます。家賃に関しては事務所と居宅の双方で使用している場合は仕事場分のみが経費として計上できることになります。通信費に関しても個人用としても使用している場合は全てを経費とすることは難しいので、税務署や税理士に相談してみるのが良いでしょう。

またネットビジネスのセミナー等に参加した場合も経費として認められます。経費の領収書は必ず保管することが求められています。また領収書の裏に何に使用したかを明記しておけば、もし税務調査があった場合の証拠として活用できます。

 

まとめ

ネットビジネスの総売り上げは年々増加しており、それだけに税務調査の件数も増えてきています。

税務調査が入り追徴課税を受けないためにも、納税意識をしっかりと持ってネットビジネスに参加することが重要です。

税務調査で最も怖い?重加算税の説明と対策

税務調査で課される最も重い加算税の重加算税。算出方法や対策を紹介します。

怖い!重加算税の詳細

重加算税は国税庁から脱税をしていると認識された場合に、加算されることになる税金です。多額の税金を支払うことになるうえ、数年間は税務調査の対象としてマークされることになります。実際に脱税をしていなくても重加算税を言い渡される可能性があり、注意しなければなりません。

そもそも重加算税とは?

加算税の中で最も重いペナルティが重加算税です。加算される税率は35~50%で計算され、高い税率で脱税に対する制裁処置とされています。ほかにも今後の事業に影響が出るペナルティを受けることになるため、絶対に避けなければならない加算税です。

重加算税の対象として疑われた場合、まず税務調査が入ることになります。調査では売上について徹底的に調べられ、ミスがあればまず間違いなく発見されると言っていいでしょう。在庫金額や領収書も1つひとつチェックされます。脱税をしていた場合、重加算税からは逃れられません。

課税されるケースは?

国税庁が公表しているデータによると、法人に対して行われた税務調査では約2割の企業が重加算税を課せられています。重加算税の対象条件は所得や消費税などに「仮装」「隠ぺい」が確認された場合です。「隠ぺい」とは本来計上しなければならないものを隠すこと。「仮装」とは計上する請求書の数字を書き換えたりねつ造したりすることです。

経理による予期せぬミスで「仮装」や「隠ぺい」を疑われてしまうケースもあります。経理での入力ミスや申告忘れが故意ではない場合、税務調査でそれを証明できなければ脱税とみなされてしまうことがあるのです。

行き過ぎた節税も加算税の対象となる可能性があります。税務調査が入ると脱税について徹底的に調査されることになります。

重加算税の計算方法とその税率は?

重加算税は故意に脱税しようとした場合に課せられる加算税であり、ほかの加算税と比べてもはるかに高い税率で重いペナルティとなります。

追徴課税 税率
無申告加算税 5~30%
過少申告加算税 5~15%
不納付加算税 5~10%
重加算税 35~50%

重加算税の算出方法は確定申告が期限内に提出されている場合であれば未納税金の35%。期限後の申告となっていた場合は40%の重加算税が適用されます。

さらに過去5年以内において重加算税や無申告加算税を課されたことがある場合は期限内申告であっても税率が45%、期限後申請であれば50%の加算税を支払わなくてはなりません。

重加算税を加算された場合には延滞税も必要になります。税金を不正な方法で免れていた場合には最大で7年までさかのぼって、税金を納めなくてはなりません。重加算税を受けた場合には、延滞期間が申告期限から実際に納付されるまで続きます。膨大な額の延滞税になることが多いのです。

重加算税への注意点と例外

税務調査は通常、過去3年分の調査を行ないます。まず3年分調査して大きな間違いがあった場合、過去5年の調査へ。さらに脱税の疑いがあった場合には過去7年までさかのぼって調査されることになります。7年間の税金に重加算税と延滞税が加えられることで膨大な金額となるでしょう。何百万~何千万の支払いが要求されることがあります。

重加算税の対象としてマークされると税務調査も徹底的に行われます。一度重加算税を課せられてしまうと税務署からの信用もなくなり、その後も税務調査の対象となりやすくなるでしょう。

重加算税の対象とならない計上ミスもあります。売上金や経費の計上を実際と異なる日付で入力した場合や、経費にならない費用を計上してしまっただけでは脱税にはなりません。修正申告が必要になりますが売上を「隠ぺい」したり、経費を「仮装」したりしたわけではないからです。

課税されないための対策は?

重加算税への対策は脱税を行なわないことです。しかし実際に脱税を行なっていなくても重加算税を課せられる可能性もあります。

例えば、請求書を誤って二度入力してしまいそのまま申告してしまったらただのミスですが、これが故意によるものと認識されたら脱税として重加算税を課せられます。二重計上は仮装行為で重加算税の対象です。このようなミスをなくすための施策が求められます。いくら高性能な会計ソフトを使用しても、人為的なミスによる二重計上は防げません。このような場合、伝票に管理番号を付けることで解決するでしょう。経理管理のシステムを見直すことでミスは減らせるのです。

税務調査の対象となった場合、税理士と事前に打ち合わせをして入念に準備することが大切です。調査官の質問にあやふやな回答をしてしまうことで重加算税の対象とされてしまう可能性があります。あいまいな知識で対応するのではなく、経理に関するプロである税理士に任せるのが安心です。

>>税務調査に強いおすすめ税理士事務所を見る

税務調査で節税が認められるかどうかのポイントは?

会社を分割する

小さな会社の場合、税率が低くなります。年間所得が800万円以下は、税率が15パーセント、それ以上は25パーセントです。そのために大きくなりすぎた会社が、分割して小さな会社をいくつも作るという方法で、節税行為をします。会社を分けることは合法行為ですが、会社を分ける明らかな目的がない場合は租税回避となります。

租税回避にならないための理由は、各事業ごとに明確に利益を認識するため、銀行からローンを受けやすくするため、各事業ごとに社員教育を事業に合わせて徹底するためなど明確な会社分割の理由があれば、租税回避にはなりません。

生命保険加入による節税

法人生命保険は、従業員が何らかの理由で就業中に死亡した場合、遺族に支払われ、退職金のような役割をします。そのため、福祉厚生費として節税対象になりますが、額が多すぎると税務調査で引っかかる場合が多いようです。例えば、額面が従業員の給料に比して、異常に大きな額であるなどの理由で、租税回避になる場合があります。しかし、国税庁「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」で計算されたものであれば、妥当とみなされる場合もあり、いくら高額の生命保険でも、租税回避を免れた例はたくさんあります。「基準」が曖昧であるために、はっきりした線引きができないというのが現状です。プロの税理士さんにお願いするとこの辺りをうまくしてくれるので、高額の生命保険については相談が必要でしょう。

参考:国税庁「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」

海外出張費や海外視察費

海外に行った費用は、税務調査で引っかかりやすいことのひとつです。海外に行く必然性などをきちんと証明しなくてはいけません。観光渡航ビザで行った場合、団体旅行で行った場合、同業者が主催した団体旅行などは、まず、租税回避になります。

また、家族などを同伴した場合、家族の旅費は認められる場合と認められない場合があります。認められる場合は、本人が身体障がい者で、補助が必要な場合、通訳が必要だが社内に適任者がいない場合、特別な取引で配偶者同伴で出席しなくてはならないパーティーや会議がある場合などです。

もし、海外旅行費が税務調査で引っかかり、租税回避とされた場合、費用は全て「給料」として計算されますから、個人の源泉徴収が増えてしまいますから、注意しましょう。

会社名義で高級車やクルーザーを購入

某会社が、会社名義でモーガンとクルーザーを購入し、減価償却資産としました。庶民感覚でいうとどちらも、節税ではなく、租税回避となりそうですが、結果は、モーガンは減価償却費として認められ、クルーザーは租税回避になりました。

このふたつの違いは、使用した記録が残っているかどうかでした。クルーザーは社員の厚生福祉として購入ということにしていましたが、実際に使われた状況を証明できなかったのです。それに反して、モーガンは、社長の出勤用ということで認められました。どう考えてもちょっとおかしいなと思いますが、だいじなのは使用した記録が、目的に準じてなされているかということですから、モーガンは問題なかったのです。

税務調査で節税かどうかはプロに相談

以上のように、節税か租税回避かというのは、完璧に一線を引かれるものではありません。1番だいじなことは、それがどのようきちんとした理由付けができるかどうかです。と言っても以前に節税として認められていたものが、今も大丈夫かというとそうでもありません。法律も日々変わっていっているので、きちんと勉強していくことがだいじですが、なかなか追いつけないのが現状でしょう。やはり税務調査などは、プロの税理士にお任せした方がよいようです。

税務調査で指摘されやすいことはこれ!いざという時に慌てないために

国税庁公式サイト「適正・公平な税務行政の推進」によると、次の3つの点を重視して税務調査を実施すると言っています。

参考:国税庁公式サイト「適正・公平な税務行政の推進」

所得が急に減っている、または景気が良さそうなのに上昇していない

所得がかなりありそうなのに申告額が少なすぎる場合、申告をしていない場合に資金が外国に流れたことなども念頭に入れて調査します。

消費税に関することはかなりマークする

消費税は、国にとって重要な税収入ですから、調査もかなり厳しくなります。消費税というのは国民の預かり金ですから、申告を偽って還付金を受け取ろうとする場合が多いので、帳簿はきちんと用意しておくことが必須です。そうしないと仕入れなどで払った消費税を認めてもらえなくなるケースがあります。

「的確な事実認定」をする。

「的確な事実認定」というのは支出に関して、実際にあったかどうか確認することです。全てを細かく観察して、申告漏れを見つけるのが目的です。平成21年には、税務調査で、1件当たり1千万もの額が見つかりました。

領収書を発行してもらえない支出について

取引先などの冠婚葬祭などでお金を包んだ場合、領収書を発行してもらえません。しかし、もちろん香典やご祝儀は必要経費として処理されるべきものです。とくに金額があまりにも多すぎるような場合、渡した相手の連絡先などをチェックされる場合もあります。少なくとも、招待状などを保管しておいた方がよいかもしれません。

PCの中も整理しておく

税務調査では、PCの内部もチェックが入ります。売り上げ、支払い、総勘定元帳などは書類で保管するのが普通ですが、あまり必要ではない(重要ではないもの)はプリントアウトせず、PC内にそのままにしている会社が増加しています。そのため、このような書類を見せてくれと言われる場合があります。このとき、実は目的はそのほかのことかもしれません。例えば、メールなどで隠された取引先などがないかどうか確認し、隠された収入を探すためです。PCを全部見せる義務はありませんから、何を見たいか質問し、その度にそのページをプリントアウトして見せるようにしても問題ありません。 PCのデータを持ち帰りたいと言われたらどうするかという問題もあります。これも、お断りしても全く問題はありません。

帳簿なども細かくチェックされる

付箋やメモ用紙などがそのままになっていたり、書き込みがないか、また、経営者、経理担当者の机の上もチェックされます。メモ用紙やカレンダーへの書き込みなど、気をつけてください。

開示する書類に誤りがないかチェックされる

税務調査では、当然、確定申告の書類もチェックされます。確定申告の書類もきちんとチェックしなおし、間違いがないか確認します。もし、万が一間違いがあったら、「修正申告」 をすれば問題ありません。もし、税務調査で間違いを見つけられてしまったら、罰金を払わなくってはならなくなります。それから、なぜ間違ってしまったかをチェックしなくてはいけません。修正申告をしたら、必ず、なぜ間違ったか質問されます。間違いの原因が、何かを隠匿するためかもしれないという理由です。

そのほか細かいことですが、全ての契約書にちゃんと印紙が糊付けされているかチェックしましょう。もし、貼り忘れがあったら、罰金を徴収されます。

税務調査は、どの部分でどのような申告漏れを見つけるかわかりません。悪意のない申告漏れもあります。本人は全く隠す気持ちはなく、たまたまうっかりしていた場合に、罰金を支払わなくてはいけません。安心して税務調査に対応するために、税理士におまかせした方が安心です。

税務調査のココが知りたい!反面調査ってなに?注意点は?

反面調査とは?

反面調査とは税務調査の手法の1つで、主に調査対象者の取引先に対して実施するものです。

反面調査はどんな時に実施されるのかというと、本調査先で脱税や脱税の疑いがあった場合はもちろんですが、非協力的な態度・不誠実な態度・帳簿の不備があった時も実施されます。

非協力的な態度というのは、質問しているのに答えない、帳簿の提出を要求しているのに提出しない、などの態度です。

不誠実な態度というのは、質問に答えても嘘の回答をして本当のことを言わない、何回も要求しないと帳簿を提出しないような態度です。

帳簿の不備は記帳が正しくなかったり、保存していなかったりする状態になります。

調査官に対して以上のような態度をとってしまえば、税務調査が成り立ちません。

税務調査が成り立たないと、調査官がこれだけでは調査が終わらないと判断し、反面調査が実施されるというわけです。

また、嘘と分かる答弁をし続けて、帳簿が中々提出されないと、その会社を調査官が信用できないと判断しますし、帳簿の不備がありすぎても調査官が十分な調査ができないと判断して、反面調査をする可能性が上がります。

反面調査は拒否できる?

税務調査をテーマにした書籍やホームページでは、「納税者の了解を得られない反面調査は認められない」、「納税者の了解を得られない反面調査は違法である」といった文章が散見されます。

しかし、違法かと言われると、反面調査は違法ではありません。それは法人税法154条他の規定による質問検査権に記載されているからです。

さらに、東京高裁の判決では、納税者の了解を得られない反面調査を認めています。

内容は、反面調査は諸般の事情を鑑み、客観的な必要性もあり、かつ社会通念上相当な限度にとどまる限り、その時期・程度について権限ある税務職員の合理的な判断に委ねられる、というものです。

最近では他の判例でも、同じような判断が多く見られます。

反面調査を実施されるとなった場合、取引先に迷惑がかかるから…、取引先の信用をなくすから…という理由だけでは拒否できないということです。

国税庁が掲げる税務運営方針には、反面調査は客観的にやむを得ないと判断する場合に限り実施すると掲載されています。

税務運営方針を厳密に守るのであれば、反面調査の範囲は限定されるのです。

ちなみに客観的というのは企業側から見て、ということではなく、調査官から見てという、調査官の主観によることになっています。

法人税法では、反面調査を拒否する、口裏合わせの嘘の答弁をした場合は、1年以下の懲役か50万円以下の罰金と規定されているので注意が必要です。

反面調査の注意点とは?

実際に反面調査を受ける時の注意点を知っておくと、慌てずに済むと思っている人がいますが、そんなことはありません。

それは、事前通知がある一般の税務調査と違って、反面調査が実施される時には、電話連絡も何もなく、いきなり来社するからです。

心構えをしていても急に来社されるので慌てる人がほとんどです。

どうしていきなりなのかというと、調査官は本調査先と反面調査先が口裏合わせをしたり、証拠書類の改ざんをしたりすることを、警戒しているからです。

反面調査が必要だと強く判断された会社ほど、警戒されやすくなります。

しかし、あくまでも調査より企業活動が優先されるので、やむを得ない状況だった場合は、延期を申し出ても罰せられることはないので安心してください。

例えば、反面調査に対応する代表者が出張や会議で不在だった時などです。そういった時の調査官は用件を伝えることなく、帰ってしまうことがあるそうです。

とにかく反面調査で最初に注意する点が、いきなりの来社というわけです。

次に注意する時は、調査官が来社した時に身分証明書の提示を求めるということです。

調査官が来社した時は何か目的がある時だけになります。身分証明書・所属・氏名を確認したら、来社理由を尋ねてみて下さい。

反面調査だった場合は、取引先・取引年月日・取引内容などを確認するようにします。その際は調査官から名刺を必ず受け取ります。

反面調査を受ける時は税務調査の時と同じように、どこの勘定科目の帳簿を見ているのか、請求書を見ているのかはっきり見極めることです。

見極めておくことで反面調査の相手先がどこか確認できるので、企業側で情報を把握することにつながります。

調査官はきちんと捜査するイメージがありますが、中には反面調査に全く関係のない書類の提出を求めてきたり、企業担当者の見ていない所で本調査先以外の資料を集めたり、質問検査権を濫用したような行動をとる調査官がいます。

こんな行動を阻止するためにも調査官の行動を監視することは絶対に必要です。

長年調査官としてキャリアがある調査官などは、目で帳簿や書類を見て担当者が席を外した時に手帳に控えるなど、隙を見て行動に移す人もいるそうです。

職権濫用をされないために、調査する前に他の取引先の内容を控えるようなことはしないで欲しいと明確に発言しておくといいかもしれません。

反面調査が実施される一般的な理由

反面調査が実施される一般的な理由とは、相手先が税務調査を受けたとき、税務署として疑問に思う領収書が出てきた場合になります。

例えば、相手先が自社の領収書を経費に計上していた場合、当社で売上として計上されているかの確認、相手先の売上が過少ではないかの疑いがある時に、当社の方で経費として計上されていないか確認がされます。

自社が領収書を切っているので、売上に計上されていない場合は脱税ほう助となってしまいます。

このような会社とは今後の取引をこちらから願い下げですが、反面調査が実施された結果を理由に相手側から取引を停止されることもあります。

反面調査をされないための対策

税務署が反面調査をする時は、必要だと判断した時になります。そう考えると必要がないと判断した時は反面調査はしないということになります。

理由は非常にシンプルなのですが、実際には税務署と会社で見解の相違が見受けられます。

どの企業でも、自分の会社の評判が悪くなることから、反面調査はされたくないものです。

例えば、得意先や仕入れ先に反面調査が入った場合は、関係性が悪化して取引停止になったり、周辺に噂が広まり風評被害にあったりすることがあります。

また、融資を受けた金融機関への反面調査が実施された場合は、不信感が芽生えて新規融資などの融資交渉が困難になることもあります。

そこで反面調査をされないためには、反面調査が必要と判断される行為や話をしないこと、調査官が反面調査を実施しそうな感じの言動をして、調査の理由が事実でない場合は徹底的に調査官に主張して反面調査を阻止するしかありません。

反面調査が必要と判断される行為や話をしないというのは、非協力的な態度や嘘の答弁をしないことです。自ら危険な態度をとらずに、正直に税務調査を受けるようにするということになります。

必要書類もきちんと準備しておいたり、税務調査を意識して普段から書類を整理整頓しておいたりすれば、反面調査は必要ないという判断をされる可能性が高くなります。

協力的な姿勢を見せることができれば、反面調査の可能性がもっと低くできるので、税務調査の時は気を付けてください。

まとめ

反面調査について様々な情報を紹介しましたが、お役に立ったでしょうか?

普段から税務調査を意識して、税務処理をきちんとしておくと安心です。

税務調査で発覚しやすい無申告加算税と対策は?

税務調査で発覚するケースがある無申告加算税の事例や注意点、対策方法を紹介します。

無申告加算税を解説

無申告加算税は確定申告の申請を忘れていたり、期限内に書類の提出ができていなかったりした場合に支払わなくてはならない税金です。提出が遅れても加算税を防げる場合や悪質なケースと判断されると重いペナルティを受けることがあります。

無申告加算税とは?

無申告加算税は確定申告書を期日までに提出できていなかった場合に課せられる加算税です。確定申告は毎年2月16日~3月15日までに行なわなけばなりません。この申告期間に提出するのが原則であり、期日までに間に合わなければ加算税が課される場合があります。

確定申告を忘れてしまっていたり、提出が申請期限に間に合わなかったりすると無申告加算税が課されます。本来納めるべき金額の税金に付け加えて課される税金で、金額や状況によって決められた税率の加算税が掛かるものです。

課税されるケースは?

無申告加算税の有名な事例として、大手電力会社へ巨額の無申告加算税が与えられたケースがあります。本来納めるべき税金の納付は終わっていましたが、書類を提出するのを忘れていた人為的なミスでした。加算税は5%で済みましたが、金額が膨大なため12億円もの無申告加算税を支払うことになってしまったのです。

このような申告書の未提出は他にもたくさんあると言われています。どれほど優れた大企業であっても、人が作業することですからミスは発生するのです。たった1度のミスで巨額の税金を支払うことになる可能性は誰にでもあります。

申請書類を提出するのを忘れていた、もしくは故意に提出していなかった場合に税務調査が入ると、さらに重いペナルティとして重加算税が課される可能性があります。個人で事業をやっていて税金のことが分からなかった、忙しかったといった言い訳は通用しません。不安であれば税理士に依頼し経理のサポートを受けることが必要です。

無申告加算税の計算方法は?

本来納付すべきだった税金の5%が無申告加算税として加算

ただし税務署による調査や事前通知がきっかけで無申告だったことが発覚し、期限後申告となった場合には負担する税率が増加してしまうので注意が必要です。

税務調査の事前通知を受け取った後に期限後申請を行なった場合には15~20%の加算税

本来納付すべきだった税金の額に対して50万円までは15%、50万円以上からは20%加算された額の納付が必要となります。

過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課された経験があれば加算税25~30%

確定申告の提出が遅れていることに気が付かずに、税務署からの指摘で期限後申請を行なった場合には、重い税率が課せられることになってしまいます。確定申告が期限内に提出できていなかった場合、分かった時点ですぐに対応することで、加算税の税率を低く抑えられる可能性があります。

無申告加算税の注意点と例外

無申告加算税の対象になると加算税のほかにもペナルティが加えられます。納付額に延滞税が付け加えられ税金が加算されるのです。

さらに期限後申告を行なってしまうと確定申告の青色申告の承認を取り消され、青色申告の特別控除が受けられなくなります。65万円の青色申告特別控除は期限内に確定申告を提出した場合にのみ適用される制度であり、期限後申請になってしまうと10万円の控除になってしまうのです。

期限後申請を行なってしまうと金融機関から融資を受ける場合にも不利になるでしょう。融資を受ける際には確定申告書の提出が求められます。期限後申請していると金融機関に認識されると事業の信用も落ちてしまうのです。

例外として、期限後申請をしても無申告加算税が課されない場合があります。申告期限から2週間以内に申告書を自主的に提出することで加算税を免れることができるのです。その場合、本来納付すべき税金の全額を期限後申請の当日までに納めており、過去5年にわたって期限後申告や重加算税を課されたことがないことが条件となります。

課税されないための対策は?

確定申告の申請を期限内に提出できていれば無申告加算税は発生しません。確定申告の提出を忘れていた場合でも、気付いたらできるだけ早く対応するようにしましょう。無申告加算税が課されない場合や税率が軽くなることがあります。

無申告が発覚した場合、まずは1日も早い申請と税金の納付が必要です。自身で対応するのが遅れそうなら、すぐに税理士に相談して解決してもらいましょう。放っておくと重加算税が課され、税率50%以上の加算税が付いてしまう可能性があります。

期限後申請となってしまっても正当な理由さえあれば加算税は課されません。災害や事故などでやむを得ず提出できなかった場合はその事実を証明できるデータ、書類を揃えておきましょう。

>>税務調査に強いおすすめ税理士事務所を見る

税務調査で指摘される?過少申告加算税の対策法とは?

税務調査で発覚しやすい過少申告加算税について、算出方法や対策方法を解説しています。

意外と知られていない過少申告加算税を解説

所得や消費税の申告漏れがあった場合に課せられる過少申告加算税。税務調査の際にもっとも指摘される可能性が高い加算税です。税務調査が入る前に対処しておいて税率を0%にできるほか、日ごろから対策をとることで未然に指摘を防ぐことができます。

過少申告加算税とは?

過少申告加算税とは、税務署に期限内に申告した法人税や個人の所得税などが間違っていた場合、不足していた税金に加えてペナルティとして追加で払わなければならない税金です。

申告した本人が相違に気が付き自主的に修正申告を行なった場合や、税務調査により申告漏れの可能性を指摘される、または税務署から更正処分を受けて課せられることになります。

義務違反の度合いに対して税率が状況によって変化するものの、制裁的に課税される制度です。

課税されるケースは?

過少申告加算税は期限内に提出した個人の所得税や法人税、消費税に申告漏れがあった場合、追加で払う税金に付け加えて支払わなくてはなりません。

申告漏れが発覚するケースでもっとも多いのは税務署による調査が入ったときでしょう。思いがけない経理の入力ミスが発覚したり、計上を忘れている売り上げが見つかったりするのです。

申告が漏れていた所得に対して意図的に隠そうとした場合には重加算税が課せられますが、そうでないことが認められれば税率の低い過少申告加算税が適用されます。

「税務調査が入る連絡があり、申告漏れが指摘されることを心配して確認してみたら、漏れが見つかった」という場合にも過少申告加算税が課せられてしまいます。

過少申告加算税の計算方法は?

税務調査の事前通知を受け取ったの申請なら5~10%の加算税

これまで自主的に修正申告を行なった場合には、過少申告加算税が課せられずに済むことが多かったのですが、平成29年施行された法改正により状況が変わりました。

自主的に修正申告したとしても、税務調査の通知を受け取った後の修正になると追加で納める税金の5%が加算税として加算されます。さらに追加で納める税金が当初の申告納税額、もしくは50万円を超えている場合はその超えている金額について10%加算されることになりました。

税務調査で発覚した場合、10~15%の加算税

税務調査によって申告漏れが発覚した場合、追加で納めることになった税金の10%が加算税として課されることになっています。さらに追加で納める税金が当初の申告納税額、もしくは50万円を超えている部分については15%の税率加算です。

過少申告加算税についての注意点とは?

平成29年に施行された法改正によって、今まで以上に厳しいペナルティが加えられるようになっています。

これまで税務調査の事前通知を受け取った後でも、更正があることを予知せずに修正申告を行なった場合は加算税がかかりませんでした。法改正後は税務調査の連絡があってから、自主的に調べて修正申告をしても加算税が課されます。

納税者にとっては不利な内容の法改正ですが、はじめから漏れなく申告できていれば何も問題ありません。

税務調査が入り申告漏れが見つかった場合には、申告漏れが故意でないことを調査官に証明することも重要になってきます。本人はそのつもりでなくても、税務調査官に脱税と判断されてしまえばさらに重いペナルティが課せられる場合があるのです。

課税されないための対策は?

過少申告加算税を防ぐための対策として、申告書を提出する前に1度、税理士に依頼して確認してもらうのがよいでしょう。

過少申告加算税は原因のほとんどが「ついうっかり」によるミスです。

日ごろから会計処理の管理を徹底し、申告漏れが起こらないように注意しなければなりません。とは言え人が作業することなので、ミスは完全になくならないでしょう。最終的には人の手でチェックして、問題を1つひとつ解決していくようになります。

税務調査に備えるなら税理士の存在は欠かせません。税理士がチェックして印鑑が押された申告書は信頼度が高く、税務署に与える印象も変わってきます。多大な加算税を支払うことになる前に、税理士を雇う費用をリスクヘッジとしてとらえて税務調査に備えるのが、事業経営における賢い選択と言えるのではないでしょうか。

>>税務調査に強いおすすめ税理士事務所を見る