
税務調査の当日にまず聞かれるのは、業種の景況や商流、従業員数といった会社の概況です。帳簿の確認に入るのは多くの場合そのあとで、質問は売上の計上時期・交際費・在庫・人件費・外注費の5点に集中します。
何を確かめるための質問なのかが分かっていれば、必要以上に身構えることはありません。事前通知の電話で押さえておくことから、当日の受け答え、そろえておく書類、その対応がその後の加算税に与える影響まで、現場の流れに沿って見ていきます。
当日を迎える前に|事前通知の電話で確認しておくこと
実地の税務調査は、原則として税務署からの事前通知で始まります。国税通則法第74条の9は、実地の調査で質問検査等を行う場合、あらかじめ納税者(税務代理を依頼している税理士がいる場合は税理士にも)へ次の事項を通知するものと定めています。
- 実地の調査を行う旨
- 調査を開始する日時
- 調査を行う場所
- 調査の目的
- 調査の対象となる税目
- 調査の対象となる期間
- 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
- 納税者の氏名・住所(居所)/調査を行う職員の氏名・所属官署
- 日時・場所の変更を求めることができる旨/通知した事項以外に非違が疑われた場合には、その事項についても質問検査等を行える旨
後半の2つは国税通則法施行令第30条の4で定められたもので、これらを合わせて実務では「事前通知の11項目」と呼ばれます。
電話で通知を受けたら、この内容をその場でメモしておいてください。対象の税目と課税期間、そして「どの帳簿書類を見るのか」が分かれば、当日までに何をそろえればよいかがはっきりします。
日時や場所についても、合理的な理由を付して変更を求めた場合には、税務署長等は協議するよう努めることとされています(同条第2項)。国税庁の税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)でも、一時的な入院や親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合には申し出れば変更を協議するとされています。
日程が本当に厳しいときは、遠慮せず調査担当者に申し出てかまいません。申出の方法に決まりはなく、口頭で伝えるだけで差し支えないとされています。
なお、申告内容や過去の調査結果などから、事前通知をすると正確な課税標準等の把握が困難になるおそれがあると判断された場合には、法令の規定により事前通知なしで調査が行われることもあります(国税通則法第74条の10)。
その場合でも、調査の対象となる税目・課税期間・調査の目的などは、臨場後すみやかに説明されることになっています。調査全体の進み方ははじめての税務調査ガイドでも整理しています。
調査は「会社の概況を把握する質問」から始まる
税務調査が始まっても、いきなり調査官が帳簿をひっくり返してチェックを始めることは基本的にありません。担当する調査官にもよりますが、最初は雑談を交えながら、業界や会社の状況についての質問から入るのが一般的です。
そこから、組織構成や従業員数といった会社情報、受注から納品・入金までの流れなど、次第に業務全体を把握する内容へと質問が移っていきます。
特に売上については、締め日・入金日・売上計上のタイミングなど、少し踏み込んだ内容を聞かれると考えておくとよいでしょう。在庫を抱える小売業などでは仕入れに関する質問もありますし、給料の締め日・支払日・支払方法、場合によっては社長の趣味を尋ねられることもあります。
一見すると税務調査と無関係に思える質問にも、実は意味があることが少なくありません。たとえば社長の趣味を尋ねるのは、後述する交際費の私的利用を確認するための布石であることがあります。
税務調査でチェックされる重点ポイント
会社の概況を確認した後、多くの場合は調査1日目の午後から帳簿の確認作業に入ります。重点的に見られるのは次の5項目で、税務調査で指摘されやすいポイントとほぼ重なります。
売上計上時期のずれ(期ズレ)
税務上、売上計上のタイミングは引渡基準(商品の納品日・サービスの提供日)が基本です。これを入金日に計上する現金主義で処理していると、計上時期がずれてしまいます。
特に期をまたいで計上時期がずれていると、売上計上漏れとして指摘されます。調査で最も多く確認されるポイントのひとつです。
交際費の私的利用
交際費に私的な支出が混ざっていないかがチェックされます。ゴルフ代や食事代を交際費に計上している場合、「誰と行ったのか」など詳細を確認されます。
親族の結婚祝いや自分用の贈答品、取引先と行ったことにした家族旅行などが交際費に紛れ込んでいると要注意です。参加者や人数があいまいな高額の飲食領収書も目につきやすい項目です。
在庫(棚卸資産)の金額
小売業などの在庫商売では必ずといってよいほど確認されます。期末在庫を減らせばその分だけ利益が圧縮され、税額が少なくなるため、会社が作成する在庫表の数字は念入りに調べられます。在庫計上漏れがあれば追徴課税の対象となるので注意が必要です。
人件費(架空人件費)
実在しない従業員の給与を計上して利益を減らす「架空人件費」がないかを確認します。疑わしい場合は、履歴書やタイムカードの有無、社会保険への加入状況などが確認されます。アルバイトへの現金払いなどは、記録が残りにくいため突っ込んで質問されやすい部分です。
外注費・関係会社との取引
外注費の水増しや、関係会社との取引内容など、不正が発生しやすい箇所も重点的に確認されます。不明瞭な点についてあいまいな答えをしていると、かえって疑念を招きかねません。
心配な点があれば、調査前に顧問税理士と受け答えのシミュレーションをしておくことをおすすめします。
質問項目ごとに「調査官が見ていること」と「そろえておく資料」
同じ質問でも、調査官が確かめようとしている論点はそれぞれ違います。何を見られているのかが分かっていれば、答えるべきことも自然に整理できます。
| よく聞かれる質問 | 調査官が確かめたいこと | そろえておくと答えやすい資料 |
|---|---|---|
| 「売上の締め日と入金日は?」 | 引渡基準で計上されているか(期ズレの有無) | 請求書控え・納品書・売上台帳・通帳 |
| 「この会食は誰と行きましたか?」 | 交際費に私的な支出が混ざっていないか | 相手先・人数をメモした領収書、社内の稟議・報告記録 |
| 「期末の棚卸はどうやって数えましたか?」 | 在庫の計上漏れ・評価の妥当性 | 実地棚卸表(原票)・在庫集計表・受払記録 |
| 「この従業員の方の勤務実態は?」 | 架空人件費が計上されていないか | タイムカード・雇用契約書・給与台帳・源泉徴収簿 |
| 「外注先とはどういう取引ですか?」 | 外注費の水増し、関係会社との不自然な取引 | 外注契約書・発注書・作業報告書・振込記録 |
| 「社長のご趣味は?」(雑談) | 私的な支出が経費に入っていないかの糸口 | —(事実と違うことを話さないことが大切) |
ポイントは、取引があったこと自体を示す資料(契約書・発注書)と、実際に行われたことを示す資料(納品書・作業報告書・タイムカード)をセットで残しておくことです。この2つがそろっていれば、口頭の説明に頼らずに処理の正しさを示せます。
帳簿や請求書が電子データの場合は、画面で見せる
クラウド会計や電子請求書が広く使われるようになり、「紙で出さなければいけないのか」と迷う場面が増えました。国税庁の税務調査手続に関するFAQは、この点を令和8年7月に改訂し、電磁的記録(電子データ)の示し方をあらためて整理しています。
提示を求められたときは、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認できる状態にして見せれば足ります。紙に印刷し直す必要はありません。
一方、提出を求められたときは、次のいずれかの方法で渡すことになります。
- 内容を確認できる状態でプリントアウトしたものを渡す
- 調査担当者が持参した記録媒体へデータを保存(コピー)する
- e-Tax、オンラインストレージサービス、メールを利用して提出する
提出を求める際には、税務当局における電磁的記録の取扱いが説明されることになっています。提出したデータは国税庁が定めた規則等に基づいて管理され、保存期間の満了後に確実に廃棄(消去)されるとされています。
当日あわてないためには、会計ソフトや請求書サービスの画面をその場で開けるようにしておくこと、そして検索に使うログイン情報を担当者が把握しておくことが実務的な備えになります。
調査官の質問に落ち着いて答えるコツ
当日は、調査官がさまざまな観点から質問をしてきます。前述のとおり、最も多いのは「売上の計上時期のずれ」で、本来当期に計上すべき売上を翌期に回していないかが確認されます。次いで「交際費の私的利用」、「在庫計上漏れ」、「架空人件費」が定番のチェック項目です。
飲食店などでは「売上の計上漏れ」も多く、調査官が事前に客として来店してレシートを確保し、実際の売上と突き合わせる、といった調査手法がとられることもあります。
いずれの質問についても、正確な記録と証拠がそろっていれば、堂々と事実を答えれば問題ありません。わからないことは推測で答えず、「確認して回答します」と伝え、税理士に相談してから正確に回答するのが安全です。
受け答えで意識したいのは、次の3点です。
- 聞かれたことに答える。不安から先回りして関係のない話まで説明すると、論点が増えて調査が長引くことがあります。
- 推測と事実を分けて話す。「たしか〜だったと思います」で終わらせず、「記録を確認します」と切り分けます。
- その場で修正を約束しない。指摘の当否は資料を確認し、税理士と検討してから判断すれば十分です。
逆にやってはいけない対応は税務調査の対応|やってはいけないことにまとめています。
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「答えられない」「資料が出せない」ときはどうなるのか
税務調査は任意調査ですが、調査官の質問検査権(国税通則法第74条の2ほか)にはいわゆる受忍義務が伴います。正当な理由なく質問に答えない、虚偽の答弁をする、帳簿書類の提示・提出を拒む、偽りの記載をした帳簿書類を提示するといった行為には、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という罰則が定められています(国税通則法第128条)。
ただし国税庁は、罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えていないとし、帳簿書類等の提示・提出を求める際には、その必要性を説明したうえで納税者の理解と協力を得て行うこととしています。
身構えて対決する必要はありませんが、「面倒だから見せない」という対応は取るべきではない、と理解しておけば十分です。
なお、災害などで帳簿書類が滅失・毀損し、直ちに提示・提出することが物理的に困難な場合などは「正当な理由」に当たり得るとされています。心当たりがあるときは、その事情を率直に伝えてください。
帳簿を出せないと、加算税まで重くなる
実務上さらに重いのが、加算税の加重措置です。令和6年(2024年)1月1日以後に法定申告期限が到来する申告について、調査で帳簿の提示・提出を求められたのに応じなかった場合や、帳簿への売上金額の記載が本来記載すべき金額の2分の1未満だった場合には、過少申告加算税・無申告加算税に10%が上乗せされます。
記載が3分の2未満だった場合の上乗せは5%です(国税庁タックスアンサーNo.2026 確定申告を間違えたとき)。日々の記帳をきちんと残しておくことが、そのまま税負担の差につながります。
そもそも税務調査の対象はどう選ばれる?
企業経営をしていると、税務調査に不安を抱く方は少なくありません。税務調査は、その企業や団体が納めるべき税金を適正に納めているかを確認するために行われるもので、いつ調査対象になるかは事前にはわかりません。明日連絡が来る可能性もあれば、10年ほど音沙汰がないこともあります。
国税庁が令和7年12月に公表した令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要によれば、当局はAIを活用した予測モデルで「調査必要度の高い法人」と想定される不正パターンを抽出し、申告書や各種資料情報を併せて分析したうえで、調査官が最終的に実施の要否を判断しています。
その結果、同事務年度の法人税等の実地調査は5万4千件と前年から7.4%減った一方、追徴税額(法人税・消費税)は3,407億円と直近10年で最高になりました。調査1件当たりの追徴税額は634万2千円です。
つまり件数は絞られ、調査先はより的確に選ばれるようになっているわけです。申告内容に簡易な誤りが想定される先には、実地調査ではなく書面照会・電話連絡・来署依頼といった「簡易な接触」で自発的な見直しが求められます。同事務年度の法人税・消費税の簡易な接触は8万5千件でした。
業種によっても傾向は異なります。同資料で不正発見割合が高かったのは、バー・クラブ(62.3%)、その他の飲食(45.2%)、外国料理(40.2%)、美容(34.5%)、大衆酒場・小料理(34.4%)で、現金商売の比重が高い業種が上位に並びました。

また当局は、消費税の還付申告法人・海外取引法人等・無申告法人への対応を重点課題に掲げています。赤字だから安全、規模が小さいから対象外、と考えるのは禁物です。調査対象になりやすい条件は税務調査で狙われる理由でも詳しく扱っています。
税務調査対策として最も大切なのは、課税対象について正確な知識を持ち、正しい証拠をそろえておくことです。たとえば取引先と食事をしたなら、領収書に相手の企業名や氏名をメモし、きちんと保管しておく。
こうした心がけがあれば、処理が正当であることを証明でき、不当な追徴課税を避けられます。税務処理を社内担当者だけで抱え込まず、経験豊富な税理士に日頃からチェックしてもらうことも、あらぬ疑いを避けるうえで有効です。
当日の対応は、その後の加算税にも影響する
調査の結果、修正すべき点が見つかった場合は修正申告をすることになりますが、「いつ修正申告をしたか」で過少申告加算税の割合が変わります。国税庁の案内によれば、所得税では次のとおりです。

- 事前通知の前に自主的に修正申告した場合…過少申告加算税はかかりません。
- 事前通知の後、調査による更正を予知する前に修正申告した場合…新たに納める税金の5%(当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)。
- 調査を受けた後(更正を予知した後)に修正申告した場合や、更正を受けた場合…新たに納める税金の10%(同じく超える部分は15%)。
つまり、気づいた誤りは、調査の連絡が来る前に自分から直すのがいちばん軽く済みます。当日の質問で「これは確かに誤りだった」と分かった点についても、更正を予知する前の段階であれば負担は小さくなります。
この判断は事案ごとに微妙ですので、顧問税理士と相談しながら進めてください。
なお、修正申告をすると、その申告額について不服申立てはできなくなります(更正の請求は可能です)。内容に納得できないまま、その場の流れで修正申告に応じる必要はありません。
修正申告の勧奨に応じるかどうかは納税者の任意の判断であり、応じなかったことだけを理由に不利益な取扱いを受けることは基本的にないと国税庁も明記しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 調査官の質問に、その場で答えられないときはどうすればよいですか?
A. 記憶があいまいなまま推測で答えるのは避けましょう。「資料を確認してから回答します」と伝えれば問題ありません。誤った回答は後の食い違いの原因になります。顧問税理士がいれば、その場で確認・相談するのがおすすめです。
Q. 当日までに準備しておくべき書類は何ですか?
A. 帳簿(総勘定元帳・仕訳帳)、請求書・領収書・レシート、通帳、契約書、確定申告書の控えなどが基本です。事前通知で「調査の対象となる帳簿書類」が示されますので、まずはそれを軸にそろえてください。売上の締め日や計上ルール、交際費の相手先メモも整理しておくと答えやすくなります。
Q. 会計ソフトのデータは印刷して用意しておくべきですか?
A. 提示を求められた場合は、ディスプレイの画面上で調査担当者が確認できる状態にすれば足ります。提出を求められたときは、プリントアウトを渡す、担当者が持参した記録媒体にコピーする、e-Tax・オンラインストレージ・メールで送る、といった方法があります。
Q. 世間話にも正直に答えて大丈夫ですか?
A. 基本的には正直に答えて問題ありません。ただし、雑談の中の情報が交際費や生活費の確認につながることもあるため、事実に反することを話さないよう注意しましょう。うそやごまかしは、かえって不信感を招きます。
Q. 事前通知で伝えられた税目・期間以外のことを聞かれました。応じる必要はありますか?
A. 調査の過程で通知した事項以外について非違が疑われることとなった場合には、その事項についても質問検査等を行えると法律で定められています(国税通則法第74条の9第4項)。運用上は、対象に追加する税目・課税期間について説明と協力を求めたうえで行われることになっています。
Q. 提出した帳簿は、いつ返してもらえますか?
A. 調査官が帳簿書類を預かる(留置き)ことがありますが、これは納税者の同意のもとで行われるもので、一方的に留め置かれることはありません。留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還されることとされています。業務で使う必要があるなど返還を求める理由があれば、その旨を伝えてください。
Q. 調査当日、税理士に立ち会ってもらえますか?
A. 税務代理を依頼している税理士であれば立会いが可能です。事前通知も、税務代理権限証書に納税者の同意が記載されていれば税理士に対して行われます。税理士以外の第三者が納税者に代わって主張・陳述することは税務代理行為にあたるため認められていません。
参考・出典
- 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」(令和8年7月改訂)
- 国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」(令和7年12月)
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」
本記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。税制や運用は改正されることがあるため、最新の取扱いは国税庁の公式サイトでご確認ください。
















税務調査を行う場合は、原則として電話による事前通知があります。指定された日程の都合が悪い場合は、変更してもらうことが可能です。
飲食店のように現金商売をしている場合は事前連絡なしのケースもありますが、基本は事前に連絡があり、日程調整をするところから始まると考えてよいでしょう。
事前通知で伝えられる内容は、国税通則法74条の9第1項および同法施行令30条の4に列挙されています。実地の調査を行う旨、調査を開始する日時と場所、調査の対象となる税目・課税期間、調査の目的、対象となる帳簿書類その他の物件などが、電話で口頭により伝えられます。国税庁は「事前通知の方法は法令上規定されておらず、原則として電話により行う」としており、希望しても通知内容を記載した書面が交付されることはありません。電話を受けた時点で、聞き取った内容は必ずメモに残しておきましょう。
なお、「なぜ自分のところに調査が来るのか」という理由は説明されません。法令上、通知すべき事項とされているのは調査の「目的」(提出された申告書の記載内容を確認するため、など)までで、実地の調査を行う理由の説明までは求められていないためです。理由を尋ねても答えが得られなくても、それは調査官の対応が不適切なわけではありません。
日程については、通知の時期を「何日前まで」と定めた規定はなく、納税者側が準備できるよう相当の時間的余裕を置いて行うこととされています。変更の申出に決まった様式はなく、口頭で伝えれば足ります。繁忙期や出張、家族の看護など合理的な事情があれば調整に応じてもらえますので、無理な日程のまま受けてしまわないようにしましょう。
企業経営を行っている経営者の方の中には、税務調査に対して不安を抱いている方も少なくないと思います。
税務調査は、その企業や団体が納めるべき税金を適正に納めているかをチェックするために行われるもので、いつ自分の会社が調査対象となるかはわかりません。
明日電話がかかってくる可能性もありますし、逆に10年ほど音沙汰がないこともあり得ます。
企業ごとに税務調査が入る頻度はさまざまで異なりますが、調査に入る時期やターゲットはどのようにして決めているのでしょうか。
実際に調査を行う国の機関は税務署であり、ここで具体的な調査対象を選定しています。企業はその特徴ごとに区分けされ、多額の不正経理が疑われる企業や、不正に関わっている可能性が高い企業などが要チェックとされます。
このようないわゆる「気になる企業」に対しては、比較的高い頻度で調査が行われることが多いといわれています。
一方、経営陣が大幅に変わったり事業規模が大きく変化したなど、申告内容をあらためて確認する必要がある企業は、長期的に見ていく必要があるため、しばらく経過してはじめて調査が入るということもあります。
税務署が調査を行うか否かを最終的に判断する際には、企業が行っている税務関係の申告状況を確認することになります。ターゲットになりやすい特徴としては、まず黒字が続いている企業が挙げられます。赤字企業に調査を行っても、不足している税金を納められないケースが多いため、黒字続きで納税余力のある企業のほうが調査対象に選ばれやすくなります。もちろん、赤字だからといって必ずしも調査対象にならないわけではないので、油断は禁物です。
また、近年急激に売上や利益が伸びている企業も、売上の計上漏れなどが起きやすいため、調査対象とされる確率が高まります。この他、退職金の支払いが多額にのぼったり、貸倒れによって経費計上が増加するなど、非経常的な経費が大きく発生している企業もチェックされやすくなります。
他にもさまざまなポイントがあり、該当する項目が多ければ多いほど、調査対象になる可能性が高いといえます。
いざ調査が入ると、どんなポイントを調べられるのかも知っておくことが大切です。最初にチェックされるのは、売上計上の金額はもちろん、その計上「時期」に不審な点がないかという点です。
交際費や在庫、売上の計上ミスもよく見られるので入念に調べられますし、実際には働いていない架空の人件費を計上していないかも確認されます。
税務関係は分かりにくいこともあるため、故意に不正を働いたとあらぬ疑いをかけられないためにも、日ごろから適正な処理をしていくことが重要です。
そのためにも、税務処理は社内の担当者だけで行うのではなく、経験豊富な税理士などの専門家に依頼して、普段から間違いがないかチェックしてもらうようにしましょう。
税務調査対策として最も大切なことは、課税対象となる内容について、法律に基づいた正確な知識と正しい証拠を揃えておくことです。そうすれば、その税務処理に不審な点がなく正当なものであると証明できます。
たとえば、取引先と食事をしたのであれば、領収書に相手の企業名や氏名などをメモ書きしておいたり、なくさないようにしっかり保管しておくなどの心がけが欠かせません。正当な証拠があれば、不当な追徴課税を課せられる心配も少なくなるので、社内でこうした意識を周知徹底させておきましょう。





